2002年夏山 北ア:剣岳〜五色ヶ原  ■2002.07.31-08.04

★10年ぶりに夏の剣岳を訪ねた。これで剣での夏合宿は3回目である。目標は、源次郎尾根登行と八峰6峰登攀であったが、悪天のため八峰はあきらめ五色ヶ原への縦走に変更した。田村、久保(この2人とて20年以上も前の大昔)以外は龍王岳〜五色ヶ原は初めてであり思わぬ発見があったようである。再訪したい山域の一つになった。

 昨年と同じくレンタカーで出発。今年は6人、岡村Mさんにお願いして昨年と同じ格安の金額でロングボディ車を借りてもらった。7/30、19時過ぎに北九州出発、中国ー名神ー中央自動車道経由で信濃大町へ。7/31御前9時過ぎに8/3宿泊予定の民宿というかペンション?に着く。奥さんに扇沢まで送ってもらい観光客と一緒に室堂に入山する。扇澤発、10:00。

 黒部ダムは20数年ぶりである。アーチ状堰堤からの放水によって黒部川に虹がかかっている。堰堤から深さ186mえぐりとられた様にも見える足元に広がる空間が何もかもも吸い込んでしまいそうである。前回は5月だったが夏もなかなかいい。ダムからケーブルカー、ロープウエイ、トロリバスを乗り継いで標高2450mの室堂へ到着。さわやかな風が高原を吹き抜けている。身支度を整え12時出発。

 みくりが池、りんどう池を散策して雷鳥沢キャンプ場、橋を渡って雷鳥坂の登りにかかる。標高差およそ500m、1日目のためザックは満杯、2時間ほどのきつ〜いアルバイトで剣御前小屋の建つ別山乗越に到着。今日は天候がよく剣本峰、本峰から剣沢に岩峰を連ねて落ちている源次郎尾根、八峰が眼前にある。爽快な青空と天を突く岩峰!う〜んいいねえ、ふと見ると生ビールの旗がはためいているではないか。800円也。その張り紙の下に700円がチラチラしているが、細かいこというまい。テントサイトまではわずか40分、しかも下り。キリンだが止むを得ない。歩き出して2時間ちょとなのにもう一杯。でも美味かったんよ、ホント!
虹のかかる大迫力の黒部ダム

早速ビールで乾杯! 立山連峰を正面に見て散策 雷鳥平キャンプ場〜雷鳥坂〜別山乗越

剣沢キャンプサイトは快適そのものである。水道、トイレ、売店(剣沢小屋)が完備、設置スペースも十分ある。標高2500m弱の台地にあり剣沢をはさんで剣が眼前に望まれる。テント設営後は勿論、入山式、といっても早めの宴会でビールで乾杯するだけのことですが・・・

残雪多い剣御前の稜線 剣沢テントサイト(背景は別山) 剣岳:前剣〜本峰を望む

08/01。A班(原田、岡村S、赤澤、久保)は、源次郎尾根から剣本峰へ、B班(岡村M、田村)は別山尾根経由剣本峰へ出発。10-11時山頂で合流予定。A班は5:45出発。剣沢右岸の踏跡をたどる。途中より剣沢に出る。折角軽アイゼンを持参したので装着する。きわめて良好。

1時間ほどで平蔵谷出会いを過ぎ、源次郎尾根末端の取付に着く。ルンゼ通しに行ったがF1でかなりてこずった。一般にはF1は左を巻いているようである。岡村Sトップで取り付き何とか越える。普通の登山靴ではかなり厳しい。ここを抜けると岩屑のルンゼや2-3級程度の岩場が続く。快適に越していけば尾根に飛び出す。平蔵谷側の上部フェースが威圧的だ。

剣沢雪渓に降り立つ 下降を続ける 取付のルンゼ

尾根を忠実に詰める。簡単なチムニーやフェースを登りつめるとT峰の南側のピーク。T峰は北側のピークが高い。さらに岩稜を進めば急下降して、TーU峰のコル。晴れれば絶景!なのだろうけどあいにくここまではガスの中であった。コルから岩とハイ松のコンタクトラインに沿って登ればU峰のピーク。

さらに尾根を忠実に詰める T峰南峰〜北峰 T、U峰のコルからU峰へ

U峰からは約30mの懸垂下降でコルへ。ここは20m×2ピッチでもOK(中継ポイントあり)。このあたりからガスが取れとなりの八峰の岩峰がまじかに見える。コルからは坦々としたガレ尾根を登りつめるだけである。このあたり花がそこかしこに咲き乱れ高山の雰囲気満点である。頂上の祠直下の岩稜を越える、と丁度B班:岡村M、田村に会う。10:15。予定より早いがこんなにビッタシ、というのも初めて!さらに感謝、感激したのは2人がビールを持参していたこと!ありがとう御座いました。

U峰アップザイレンのコル アップザイレンのコル付近からの八峰

山頂でビール飲んで、景色楽しんで1時間ほどくつろいだ。11時半頃から下降開始。三々五々それぞれのペースで下降する。下ってみて思うけど結構登り下りがある。一服剣から剣山荘あたりはお花が綺麗だ。いい天気に誘われて剣山荘で大休止。ついビールを飲んでしまった。緑のハイ松と白い雪渓、そして青空、誰だってのんびりしたくなるよねえ。それでも14時にはテントに帰り着いた。夕食は冷水で冷やしたソーメンをいただく。

源次郎尾根上部(U峰を望む) 剣岳山頂で記念撮影 山頂より剣沢方面を望む

 夕方からガスが出、夜には雨が降る。小屋の天気情報では、8/2は午後より崩れる、とのことであった。相談の結果、明日の八峰RCと仙人池散策は中止して、黒部ダムに近い方面に移動することにする。検討の結果、立山経由して五色ヶ原まで縦走することにする。ここまで行けばあさって多少悪天でも黒部に帰着可能である。夜は夜半まで時々大粒の雨がテントをたたく。

 08/02、剣沢がガスが濃い。降雨はないので早めに撤収、5:45出発。別山乗越へ行く途中から別山へ直登。視界は20-30m位か。雨ではないが、水をたっぷり含んだガスが西側(日本海側)より吹き付けザックや衣服をジワリぬらす。それでも雨具着ると暑苦しいのでそのまま歩く。別山を越え、真砂岳、富士ノ折立を通過、大汝山で休止する。ここは立山連峰の最高峰(3015m)なので周りはガスであるがいちおう記念撮影。

 このあたりからすれ違う登山者が増える。雄山に着く。ワンサカ登山者(参拝者)がいる。雄山神社は参拝料500円、だからというわけじゃないが参拝はパス、小休止の後一ノ越へ下降する。ポツリ、ポツリと降り始めたので雨具をつける。一ノ越、10:00ここまで4時間かかった。

 小休止の後10:15出発。龍王岳を越えるあたりで本降りになる。仕方ないから下も穿く。鬼岳〜獅子戸岳間は残雪豊富でしかもお花畑の連続、晴れていれば白、青、緑そして橙や黄色のお花のコントラストの効いた写真がとれそうだ。しかし、この土砂降りではどうもならない。ひたすら歩いて1時半過ぎにザラ峠通過、五色ヶ原はもう一息!やがて台地に出た。木道に導かれて閉鎖された五色ヶ原ヒュッテの前を通りキャンプ指定地へ急ぐ。あたりはお花畑が続くがこの雨では・・・

 テントサイト着14:00。トイレ、水道完備でスペースも広い。早速、木道の近くに2張り設営、もぐりこんで暖を取る。このころから雨風ともに激しさを増し、夜半まで荒れていたようだ。でもダンロップテントのおかげで雨中といえどもテントの中は快適そのものである。高価で重いだけのことはある。頑張って運んできた缶詰、ハム、等重量物、そして焼酎、ウイスキーを片付ける。南アでの落雷事故をラジオのニュースで知る。我々は雷に会わず幸運であった。

08/03夜明け、快晴! 快晴の朝に御機嫌の嵐パーティ モルゲンロートの染まるお花畑

 08/03快晴。いやいや、晴れて解りましたがここは後立山、裏銀座の大展望台ですね。遠くに槍の穂先や笠ヶ岳の三角錐も望まれます。あまりに気持ちがいいので木道の散策路を一周する。近くのテントの住人は天気いいので1日停滞とのこと。わかりますよ、その気持ち。でも我々は今日下山しなきゃいけません。朝日でテントも少し乾かしいつもより遅めの7:15出発。2時間半ぐらいの下降で黒部湖畔に降り立つ。

 平ノ小屋着9:45。ダム堰堤まで残り3時間半くらい。あとは湖の周りの黒部湖周遊道路をルンルン、のはずでしたが・・・そう甘くなかったのです。阿曽原からの”水平歩道”なみと思い込んでいましたから。平ノ小屋でプッツン切れた緊張感のない体にはこたえました。

快晴の五色ヶ原、再訪するときはゆったり滞在ですね!木道の散策路がGood!

 平ノ小屋10:00発。針ノ木谷出合への渡船場を下に見ていくと結構な登り、5万図には表れない多少の登下降はあるべし、と思っていくが多少どころではない。最大のギャップは80数段の垂直の木はしごの登下降。くろよんダム山荘の見える峠までもよく地図を見ると等高線6本もあって、だらだら登りが続く。そして峠からまじかに見えたくろよんダム山荘までは左に大きく沢を回りこむので小1時間もかかった。さすがに皆さんうんざりでした。

8/3黒部湖に向かって出発 黒部湖畔に到着 平ノ渡船

 それでも、13時半には堰堤着、トロリー発着所に13:50着。14:35のトロリーバスで扇沢へ、そして迎えの車と合流。一路ペンションへ、夜はささやかな宴を催し夏合宿のフィナーレを飾った次第です。参加者の皆様、行程変更のため希望のコースにいけませんでしたがまたの機会を期待しましょう。(Y.Kubo記)

■宿泊先:カントリーハウス『野の花』
青木湖の近くです。近くには 姫川源流、親海湿原があり季節の花楽しめます。
■帰北:名神の混雑を避けるため、白馬ー糸魚川ー(北陸道)ー敦賀ICー(国道27号線)ー舞鶴東ICー(舞鶴道)ー(中国道)ー北九州。ペンション出発は、7:45、途中昼食、夕食、休憩し関門橋通過が20:45、小倉着21:30でした。
『野の花』 親海(およみ)湿原
■参加者:岡村M、田村、原田、岡村S、赤澤、久保、以上6名
■費用については、参加者に問い合わせください。
■主要装備:テント6人用×1、3人用×1、ザイル9mm×2、軽アイゼン各自、その他登攀具一式。