祖母傾山系:ドウカイ谷 2002.09.29

 今年の水と遊ぶ沢はこれでオシマイ!ということで本年、センゲン谷、山手本谷と2本登った傾山で締めくくりとしました。ドウカイ谷は、『山手本谷の支谷の中では、沢登りそのものを楽しめる谷』(日本登山大系)と評されています。さて本当に楽しめるのかな?

 赤澤、久保は28日夕方出発し29日早朝、新と現地合流する。駐車場発、6:45。いつも横から眺める観音滝を滝壷から拝もうと林道終点の広場から入渓する。

 ゴーロの中の小滝を越えるとすぐ滝壷についた。さすがに高い!が下から見上げるためか86mの落差?を感じない。冷却された心地よい大気を味わって右の踏み跡をたどり登山道へ。ここからみると86mは十分ありそう。見上げるのと見下ろすのでは大違い!人の感覚なんてあまりあてになりませんね。

 登山道がドウカイ谷を渡るところから再入渓。自然豊かなゴーロを行けば左に支流、更に上部で支流、ここはガレで水流なし。やがて作業小屋を左に見て林道の橋をくぐる。すぐ砂防ダム、右よりこしてあまり変化のない沢を詰める。

 標高650mまでは小滝2ヶ所ほどあるがぱっとしない。やがて水流が涸れる。おいおい、まだ沢の”さ”の字もはじまってないのに。まあ、伏流でそのうちでてくるだろう、と思い乾いた岩やガレを淡々と行く。


滝壷から拝む観音滝 しばらくはゴーロの谷が続く

 水流があれば滝?を2-3越して大岩の多いゴーロを行く。とやがて又水流が現れ、またすぐ涸れる。これで終わりか、と思ったらまた水流が出てきた。よかった、これで沢らしくなる。標高は900m弱。早速、15m位の滝、上部がスラブ?左手を3mほど上がり見れば右へのトラバースでいけそうな気がするがランニング1ケほしいところ。先もあるので無理せず左のルンゼを詰め右に振り滝のすぐ横の側壁上をいく。

 沢芯を覗く!あるわあるわ、ここが資料にある連瀑帯だ。白い水流がいくつもの滝を滑り落ちている。登れそうなので15m弱の懸垂で沢に降り立つ。丁寧に、そして時折シャワーを浴びながら詰めていく。ノーザイルのフリーで登るのが沢遊びの醍醐味でしょう。

最初に遭遇する滝、左を巻く 懸垂で沢筋へ下降 水と戯れながら小滝を越えていく

 やがて15m程の垂直の滝。巻こうとおもったが、よくみると突破できそうである。3mほどシャワーで登り浮石を落としホールドを確認、念のためザックをおいて取り付く。気持ちのいいシャワーで落口にタッチ、上部に抜ける。更に2つ続くが上2つはノーザイルでOK。その上部もフリーで登れる小滝が続く。左に支流を見てもろいカンテ状の滝を越える。更に小粒の滝が続く。
 
 やがて谷全体にすっぽりはまり込んでいる数mはあるチョックストン。水流あれば立派な滝、緩傾斜の右手を巻いて上に上がる。これを越えると割れ目の多い岩が多くなり、岩屑の多い谷になる。次第に傾斜がましてくると上部に尾根筋が見える。終了点が近い。稜線直下は相当荒れている。


 ブッシュつかんで登ると眼前が一気に開けた。二ツ坊主と吉作落としのコルである。喜作のコル着が10:05。遡行時間約3時間。標高差およそ800mで3名だからこんなとこだろう。

3段の滝を攀じる 左に支流を見てカンテ状の岩を越える

さらに続く上流の小滝を越えていく

沢をふさぐチョックストン、
右から越える
右俣は水流わずか 終了点が見えてきた

 吉作落しは、山手谷に突き出した展望台みたいなもの。吉作のコル近くの露岩に上がり東面を振り向けば眼前に三ツ坊主〜二ツ坊主〜傾本峰の稜線が超ワイドスクリーンでの映像の如く展開する。

 山手谷から急角度で一気に立ち上がっているため空撮のようで迫力満点だ。しかしワイドすぎて残念ながらカメラでとらえることは不可能!興味ある方、一度お訪ねください。うそは申しません。光線の関係もあって三ツ坊主が下部がハングした堂々たる岩壁を山手谷に誇らしげに突き出していました。

三ツ坊主の岩壁 遠く九重連山〜由布を望む 二ツ坊主の岩壁

 露岩でビールのみながらしばらく談笑。10:50に腰を上げ、下山開始。コルまで戻り二ツ坊主の岩峰へ向かう。踏み跡か鹿道かわからぬが2ツ坊主の向かって右を巻くようにして岩棚を伝い、ブッシュを伝い攀じ登り、又岩棚を行くといった繰り返しで20分ほどで坊主登山道に飛び出す。あとは三ツ尾経由でぶらぶら下山、駐車場着が13時であった。

稜線からの吉作落とし 三ツ尾下山道からの吉作落とし(右のコブ)

■参加者:新、赤澤、久保、以上3名
■装備:沢標準装備+8Φ×30m、9Φ×15m各1
■吉作落し、坊主周辺の詳細情報は、『祖母傾最新情報』(祖母山9合目小屋発)を参照ください。

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ラムネ温泉(長湯温泉)


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