祖母傾山系:クマガ谷右左俣遡行  2003.06.29

■谷の名称は、『祖母傾最新情報』に従います。又、滝の高さは資料でまちまちですが、その正否は沢登りそのものとはあまり関係ないので手元資料(九州の沢と源流)に従います。標高は、市販の時計付属の高度計によりますが、センサーの精度によりこれも差があります。あくまで目安です。
※谷の名称を、クマガ谷右左俣に修正しました。(2006.08.15)
■「思い立ったが吉日」!・・・・・たかだか沢遊び。ちょっと大げさですかネエ・・・でもいけるとき行かないと。そう思い通りにチャンスはやってきません。前回の尾鈴:甘茶谷に引き続き、今回も突然変更して結果として大満足の山行になりましたから。

 

 当初予定は、『奥匹見峡』であったが、梅雨の中休みが期待できそうだったので、急遽(といってもしょっちゅうですが)『祖母:熊が谷』に変更する。

 6/28、20:55小倉駅北口発、0:20尾平駐車場着。ビール一杯飲んですぐ就寝する。夜半まで時折降ってた雨は、朝方にはすっかり上がり、曇天で少し気温は低いがまずまずの天候。

 車1台を尾平越トンネル駐車場におき、もう1台で下尾平まで移動、近くの広場に駐車して、7:10橋のたもとから入渓する。標高474mだから高度差は、1100m弱。

 梅雨のせいか水量は多い。しばらくはゴーロの谷を行く。しばらくで林道が横切る。本谷と左俣出合の二俣はすぐだ。右にとり、大岩の多いゴーロを少し冷たい沢水の感触を楽しみながら淡々といく。小滝を越していく、そろそろ・・・・出ました。待望の連漠帯!まず5m、4m、18mが目に飛び込む。無心になって遡る。

                【写真右:今日は、積極的にシャワーで行きましょう!】

連漠帯!夢中になります!

続いて連漠第2段!7m、20m、5m、12m幅広と続く。 12m幅広滝は、しぶきを浴びて左壁カンテを突破する。やがて15mの滝。滝上が二俣のようだ。見上げると右から右俣が滝を落として出合っている。左上には左俣の連漠帯が見える。一息入れ全員で記念撮影。

さらに続く連漠帯 必要な個所はザイル出して安全第一で登行
滝は続く!奥は幅広12m 幅広12mは左壁カンテを登る。
水心は水流が強く不可能

二俣までの連漠帯は、幅広で落差のある滝が要所要所にあり、且つ水量がおおいので頭上を圧するような迫力がある。休む間もなく現れる滝を右に左にそして水心を息つく間もなくせっせせっせと遡る。今日の遡行の楽しみはシャワー!できるだけ水心を、だめな場合は水際を行く。少しばかり冷たいが水しぶきや水煙を体一杯浴び満足!

二俣手前の15mの滝の前で全員集合!


標高およそ800mの二俣を過ぎ左俣にはいる。引き続き20mを越える。直登OK、上段まで上がり舞い落ちる土砂降りのシャワーを浴びて左岸に移り巻くこともOK。どちらも楽しい!この上には5m、12mの斜滝が続く.。

15m滝は思い思いに左壁を登り
左俣へ進む
20m滝は直登よし、シャワーで巻きもよし

12m斜滝。資料では巻いているようであるが左岸にワイドクラックが走り水際をいけそう。トライしてみるか。

 左岸を一段上がる。アンザイレンしてスタート。水流部分はスラブの一枚岩。スタンスはないのでクラックにホールドを求める・・・・・少ないホールドをつかみ片足をクラックに突っ込んでずり上がるように登る。ランニングが取れない!・・・う〜ん・・と見るとクラックの中にグラグラするが外れないチョックストンがある。これにスリングを巻きやっとランニングが取れる。一安心して飛び飛びにあるホールドをつかんでやっと突破する。順次後続を迎える。
少し緊張感のある遊びが出来た。満足!だがこの滝だけで30分近くも費やしてしまう。あまりこだわっては時間がいくらあっても足りない。ほどほどにしなきゃネ。

12m斜滝、左岸を行きたい〜ということで渡渉 ザイルを出すが結構てこずる

後続は楽しみながら? 続く40mは左から巻く

次の40mはあっさり左を巻く。続いて10mの階段状の滝を越えると右岸が崩壊した明るい広場に出る。日も射してきたので大休止して腹ごしらえをし冷えた体を温める。
この辺りから黒っぽいヌメヌメした苔が岩肌をまとい非常に滑りやすくなってきた。カチッとしたスタンス以外はよく滑る。要注意!崩壊地をすぎると傾斜が弱くなる。あたりは自然林に囲まれ小奇麗なナメ滝が続く。
やがて左に折れると正面に大岩壁!おおっ!と大歓声。本谷のハイライト大滝の出現である。ハングした庇の突端から勢いよく噴出した沢水は、放物線を描いて岩壁に突き刺した岩塊を直撃、その水は斜滝となって駆け下っている。直漠と斜滝でゆうに70m以上はありそう。

10mの階段状を越えると崩壊地 自然林の中に綺麗なナメ滝が続く

この豪快な滝の水煙にまみれながら斜滝右を登り、豪雨のようなシャワーを全身に浴びながら直漠の裏を抜け右岸の小尾根に上がる。ここから尾根を巻くように登り滝頭に出る。
ここを越えると核心部の感動が去ったせいか谷は急に静かに感じられるようになる。いくつかのスラブ滝や斜滝を越えていくと15mの直漠。右手に1段上がり4m程の泥の詰まったチムニーを抜け滝頭に出る。

豪快な本谷最大の大滝!瀑心の裏をくぐり抜け右岸の小尾根にはい上がる

大滝を越えると自然林の真っ只中!自然に浸りながら遡行は続く

まだまだ滝は続くが、勢いは落ちてきた 15m直漠は右手からチムニーを越える
 15mの直漠を越えると一層谷は静かになる。疲れも出てきたせいもあり時たま現れる小滝を惰性で越えていけばあたりは源流の装い!苔むした谷は、神原渓谷の源頭そっくり。
静寂の中に沢音だけが響く癒しの世界!たまにはのんびりしたいが・・・・・

苔むした谷は癒しの世界。究極の日本庭園?緑がまぶしい


 水流も細り、流倒木やヤブがうるさくなってきたので遡行を打ち切る。標高は、1410m前後、時刻は12:10。靴を履き替え12:30出発。左の尾根にのびる短いガレのルンゼにはいる。尾根筋に上がりスズタケの藪を15分ほど漕いで12:55、三国岩のすぐ近くの縦走路に出た。

 天候はすっかり回復し唯一展望の得られる三国岩で小休止、あとは風のない切り分け道をひたすら歩いて尾平越経由でトンネル駐車場に14:30に帰着した。



■装備:沢装備一式、滝の落差が大きいのでザイルは30m以上必要。懸垂下降はなし。ルートは単純明快で判断に迷うところなし。

■参加者:岡田、新、原田、岡村S、赤澤、橋本、久保、(ゲスト:新眞由美、大津一美) 以上9名
 ■ゲスト2名は、尾平越トンネル駐車場〜古祖母山往復のハイキングを楽しまれました。

■ クマガ谷概念図 ■

※本図中の谷名称は、2003.06時点での”祖母傾最新情報”に拠るものです