船上山〜勝田ヶ山〜甲ヶ山 2003.2.8-9

 週末は崩れる、と承知の上て出かけた伯耆大山縦走であるが、悪天の為中止せざるを得なくなるとやはり残念!。昨年は吹雪のため矢筈ヶ山でルートをはずし途中ビバークで鹿取へ下山した。本年は昨年難なく通過した甲ヶ山で昨年以上の大雪と風雨、そして乳白色のガスのため下降ルートを見失い縦走を中止せざるを得なかった。なかなか全天候対応の山行は難しい。それにしても最近の天気予報、特に短期の予報はよくあたる!たまに外れればいいのに、と思うがずれればずれたでイライラするに決まってる、思うようにいきませんねえ。

 2/7、19:00小倉出発。新見ICで高速を降り180号線を行く。いつもは桝水原経由で大山寺を目指すが今回は溝口ICで高速にのり次の米子ICでおり9号線を赤崎に向かう。夜だったせいもあり道を1本取り違えた。多少ロスはしたが無事『少年自然の家』に到着した。さらに船上登山口へ向かうが相当の積雪である。車を取りにかえることを考慮し自然の家の上流にあるダム工事中の空き地に駐車、幕営する。到着2:00。寝酒飲んで3:00就寝。


 2/8、6:40起床。天候は曇りであるが明るく見通し良好。予報が少しずれて夕方までもてばいいなあ、と思いながら朝食を済ませテント撤収し8:00出発。東坂登山口までは車道を行く。昨年はこの辺り積雪ゼロであったが今日は真っ白、相当降っているようだ。登山口発8:40、船上山へのトレースをたどる。40分弱で船上山。一面の雪原である。やはり今年は多い。山頂小屋(トイレ付)で用足しをして9:30出発。トレースは船上神社まで続いている。勿論、縦走コースにトレースがあるなんて期待はしていなかったが、ルートとなる神社裏にはやはり何の痕跡もなかった。


東坂登山口まで車道を行く 雪原の船上山山頂 縦走路取付は船上神社の裏

 ぶな純林帯の雪原を行く。曇っているものの視界良好なので気分がいい。脛下辺りまでもぐるようになってわかんを履く。ルートは標高約840mで西方向にチェンジする。ここまでは適当な間隔でテープがあるので問題はないが、西方向に振るところはだだっ広い尾根で少しわかりづらい。よく目を凝らすと赤テープがあるのでそれを追う。今日は見通しがよく標高941mを越えて行けば右手奥に豪円山から大山にかけての山並みが望まれる。


伯耆大山が望まれる 快適な尾根道を行く

 この辺りから少し小雨がぱらつき始めた。ちょいといやな予感!やはり予報どおりか、どうせなら雪になればいいのに。この先雪との格闘が待っている。全員雨具着用。急な雪壁の登行にあえぎながら振り返れば広い裾野の彼方に日本海、広大な眺めだ。急登一登りで勝田ヶ山に続く尾根に飛び出す。前方が一気にひらけ、一向ヶ平から蒜山三山まで一望のもとだ。

振り返れば彼方に日本海! 急登一登りで勝田ヶ山

 昨年は殆どガスの中で全くの眺望が得られなかったので再来組は、う〜ん、いいねえ、と満足顔。豊富な雪のエッジを追えば遠くに甲ヶ山のピーク、かなり距離がある。
稜線の積雪は深く時間がかかりそうだ。13:30頃勝田ヶ山通過。ブッシュの『勝田ヶ山』の小さな標識がなければ知らずに通り過ぎそうなほど何の特徴もないピークである。雪はさらに深くなりおまけに気温が高いのでピッケルやらわかんに付着しあるきづらい。甲ヶ山近くになると岩稜もが出てくるのでワカンを脱ぎ積雪は深いがゆっくりしたペースでつぼ足で行く。さきほど降り出した小雨は小康状態なのに風が出、ガスに覆われてきた。なんともいやな感じ!



彼方に蒜山三山を望む 勝田ヶ山付近を行く

 やがて指し示す方向が風まかせである風見鶏のような木製の道しるべがあるピークをすぎる。何と記されているか解読不可だが多分縦走路の方向を示しているのだろう。この頃から風が急に強くなりガスが濃くなってきた。時刻は15:00をまわっている。甲ヶ山に近づくほどに風は強さを増し突風を伴いガスは一層濃くなる。岩稜を越える頃は風はますます強くなり一定時間ごとに耐風姿勢を余儀なくされる。気を抜くと飛ばされそうだ。

 甲ヶ山のピークらしきところに到着。右に緩やかにリッジが下っている。左に急な支稜が落ちている。ここが下降点のようだ。昨年はブッシュが出ていたが今はブッシュは殆ど雪の下である。視界は30mあるかなしか、ばっさりきれ落ちているので念のためザイルを出す。下降開始。慎重にバックでステップを切りながら下降する。時々雪のついたブッシュを踏み抜き、ずり落ちてビクッ!としながら40m程下降。左にトラバースしたいが先が全く見えない。


甲ヶ山は遠い!牛歩で新雪を行く 風は強さを増しガスが濃くなってくる!

 しばらく待つ。吹き付ける雨粒か雪粒の混じる突風が頬をたたく。顔をそむけながらじっと待つ。一瞬、雪稜が見えまたすぐガスに隠れる。あれか?トラバース開始。目で追うと急な雪壁は乳白色のガスに吸い込まれ奈落の底につながっているようだ。30m程で雪稜らしきところに出るが先よりは傾斜のゆるい雪壁にいるようで尾根?といえば尾根か。確信は持てないがここまで後続を迎える。

 全員そろったところでルートを探す。ガスと雪だから境界が判然としない。尾根?を50m程下降してみるが、雪壁は何処までも同じ傾斜でくだっているように見える。登り返しさらにトラバースしてみる。そこには岩稜がおりていた。岩稜を超えると上部が岩壁でその下にブッシュもある。ここじゃなさそうだ。非常にせまい範囲をウロウロしているんだろうが、なんせ視界がないので方向に確信が持てない。ひょっとしたら下降点を間違ったかもしれない。時刻はとうに16:00をすぎている。風とガスはますます勢いを増すばかりだ。

 もう1時間もすれば暗くなる。安全第一だ。残念だが撤退!待機していたメンバーに事情を説明、撤退開始。トラバースし雪壁を登り返し稜線に戻る。時刻は17:00。風見鶏風の道しるべのちょっと先にビバークサイトをこしらえテント設営。時刻は17:50。4人用だがダンロップは広いので何とかなるだろう。



視界不良の為ザイル出して下降ルートを探すが・・・・・・結局ビバーク。サイトは標高1300m

 全員ぬれねずみ!テントに転り込む。さすがに5人分の荷物を持ち込むとせまい、が空間を作り残りの水で湯を沸かし、ホットウイスキーやら焼酎やらで暖を取る。高木さんの運んだブランデーはその発する香りが口中にあふれテント内では最高の飲物!水を作るのも面倒くさいのでカレーライスはやめ夕食は行動食の残りと飲み物で済ます。

 20:00過ぎには風は1時的にやみキラキラ輝く米子の夜景もみえていたが、夜半には猛烈に吹き荒れテントをゆすっていたようだ。せまいながらも楽しい我が家?ですねえ。荷物を片付け全員シュラフに入りぐっすり休みました。

 2/9、7:40風はないがガスは立ち込めたままだ。昨日のトレースを追って出発、9:40に船上山山頂小屋着。水を作り朝食を取る。11:30には駐車地点着。帰りは、名湯湯原温泉に行くことに決定。赤崎方面に下り、途中から伯耆大山を環状に大回りしている大山地区広域農道を通り溝口に出る。この道路、信号も少なく眺めのよい道路です。、

 溝口、江府を経て蒜山高原に入る。道の駅『風の家』でお土産にヨーグルトを購入、すぐ前の『そばの館』で腹ごしらえをし、湯原温泉へ向かう。
名湯:湯原温泉は有名なダム堰堤下の無料の露天風呂。いや〜いい湯でした!



伯耆大山北西部広域農道より船上〜甲ヶ山〜伯耆大山を望む
名湯:湯原温泉で汗を流す懲りない面々。なかなかいい湯でした!再来したいなあ。

★参加者:豊田、原田、高木、赤澤、久保、以上5名
★装備:テント4人用、ザイル9mm×40m×1、ワカン(各自)、ピッケル、アイゼン、他標準冬山縦走装備一式
★少年自然の家までのアクセス:国道9号線赤碕付近から鹿取方面へ入る(立派な標識あり)。しばらく行くと少年自然の家/船上山の案内あり。そこで左折後は道なり。
★本年も残念ながら敗退記となりました。興味のある方、昨年の記録も目を通してください。低山とて侮ったらいけません。この時期人のトレースは皆無です。冬の大山は天候悪いのが当たり前、それを前提にお出かけください。勿論、『嵐』は再チャレンジします。乞う御期待!