西中国山地:広高谷〜広高山  2003.05.18

初めて西中国山地の沢にはいる。手許資料から広高谷を選んだ。広高谷は、広高山、寂地山、額々山を源流として三葛に流れ紙祖川に合流する。寂地山は秋か冬に毎年訪れており、なじみがある。広高谷上流は人工物は皆無である為水質は抜群によく、沢水を引水したわさび田が多く見うけられる。今は新緑の盛りだが寂地山系と同じく広葉樹に覆われており秋も期待できそうである。

 又、魚影も豊かな様で林道経由で広高登山道を行き沢上流で渓流釣を楽しむ人が多いようである。今回も登山者には会わなかったが、釣り人には3人ほど出あった。まださほどポピュラーではないのでたっぷり自然に浸れる山系だと思う。

■小倉北区出発はちょいと遅めの6:30AM。高速で行く。六日市ICで高速をおり、R187を益田方面に向かい七日市で右折、県道42号線に入り匹見峡方面に行く。『ゴギの郷』までは快適な2車線、以降は1車線で狭くなるが離合所は適当にあり支障なし。峠を越え下った所が三葛の入り口。道路が整備され直線化されたので三葛へは右折して少し入らねばならない。このへん何処でもある田舎の風景だ。田には水が張られ田植えの準備がすすんでいる。田舎道をゆっくりいくと広高林道の入り口に出た。時刻は9:15AM。(標識があり) 林道の状態がわからないので入り口付近に駐車することにした。

林道30分ほど行くと1番目の橋。ここで身支度をし9:50AM入渓。しばらくは目を奪う新緑と長袖に程よい気温でさわやかな遡行、ではあるが単調!ごく普通の沢歩きである。しばらくでF1、F2を難なく通過。以後も落差があまりないので緊張感のないままのんびり行く。

水量は資料の記録の時より多いようでF2は3条、と記載されているが全面に落ち1条になっている。それぞれの滝を忠実に直登すればそれなりに時間がかかるだろうが、今回はザイル出さない程度で、できるだけ水流に沿って遡行する。


新緑と白い水流、ダークグレイの岩のコントラストが目を奪う!この沢は文句なしにキレイです!

前半部は、時たま手を使うが概ね沢歩き

真夏の沢もいいが、今頃のちょっぴり冷たい水の感触をたしかめ、夏の冷房の効きすぎた部屋で長袖を羽織るくらいの冷気を感じながら歩くのも好きだ。空気が動くと頬から首筋がヒンヤリ!

作業小屋(十郎衛小屋)までは大岩に懸かる滝が多い。小屋が中間ぐらい?

 右手高台の上に作業小屋が見えてきた。ここで行程の半分程消化した。資料ではF10まで越えたことになるが何かピリッとしない。きれいな沢なんだが・・・滝と滝の間隔があきすぎるのが原因か?

 小屋を越えると少し様相が変化してきた。どうやら等高線がつまってきたようだ。連瀑!とはいかないが、僅かな間隔で滝が続く。これでなくっちゃ!ようやく沢登りのリズムがでてきた。


F11からF18まで一気に登る。この部分が本沢のハイライト!

 急いでいるわけじゃないのに・・夢中で登っていたら一気にF11からF18までいってしまった。(6枚組上段右はF12:大滝7m、下段右:F18?)
もう少し楽しみたいのに・・・・あとF19、F20の2つ残すのみとなった。
F19は『核心の滝』(資料)だけあって、轟音と共に10m以上の落差で清流を一気に落としている。2条の間の草付きを登り滝頭に出る。しばし小休止。この辺り沢が開け新緑の樹林を吹き渡る風がさわやかだ。



続く瀞は左岸をへつって行く。出ました!!最後のF20。2段の滝でフィナーレにふさわしく姿、形が整っている。上段が左岸の岩に押されて左に折れてバランスを保っているところなんか人工的に造られた大規模な庭園のようでもある。左岸の岩はかぶり右岸はスラブ、ちょっと手前から左岸を高巻く。

沢に下りると緩やかなナメになる。ここから上流は傾斜がぐっと落ち平坦地のようである。すぐに登山道が横切る。ここで沢は終了とする。時刻は12:05である。遡行時間は2.5時間ほどであったが、少し物足りないなあ・・・・。

帰るにはまだ早い、折角だから話の種に広高山ピーク(1271m)まで足を延ばすことにする。

F19:落差は10m以上ありそう!


核心の滝:F19。 これで最後、2段のF20。右手を高巻く

 登山者は少ないのだろう・・・登山道は、所々踏み跡が不明瞭になる。しかし適当な間隔で付けられたテープがガイドしてくれる。

 落葉樹の森を行く。傾斜がゆるくダラダラのぼりでなかなか標高があがらないが、新緑と程よい気温のおかげで何とかがまんして歩く。途中、額々山への踏み跡を右に見送り、沢を数回渡渉し概ね沢沿いで次第に高度を上げる。沢の水が涸れるとやがて尾根筋に出る。ここまで額々山(1279m)分岐にあったホントに小さなメモ程度の道標以外は標識や看板はゼロ。尾根から左折、踏み跡をたどる。

 やがてササを踏み分けていけば傾斜がまし、そして平坦な尾根に出る。踏み跡はもう少し先まであり尾根筋より少しだけ高い北端が広高山のピークである。13:20着。広高山とかいた小さな標識が1ヶある。踏み跡はここでオシマイ。何の変哲もない山頂で、眺望は北北西の方僅かある程度。


沢はここでオシマイ! 眺望の乏しい広高山山頂

 島根県では標高はあるほうだが・・・・これじゃ登山者少ないだろうな、というのが実感。
小休止して下山にかかる。尾根からくだりにかかるところ注意!左にも踏み跡がある。(ネットで調べたら後冠山への踏跡のようだ)右を取り来た道を下る。沢の終了点で昼食タイム。ガラガラの喉にビールが旨い!

 30分ほど休憩、14:55出発。ここからの登山道は明瞭である。尾根をトラバースするようにしていけば林道のカーブミラーのある所に出る。釣り人の車か1台駐車していた。林道を30分ほど下って入り口の駐車地点に到着。時刻は丁度16:00。

本日の行動時間は、6時間強。少し緊張感は足りなかった?が、みずみずしい新緑に囲まれた沢登りを満喫できた。(Y.Kubo記)

■帰りは匹見峡温泉により汗を流しました。湯船からあがるとひんやりした山の風が体を冷やしてくれる露天風呂は、まさしく癒しの湯でした。
あの辺り行かれたらぜひ立ち寄ってください。



広高谷概念図



(本図は地形図に基づいて作成したものではありません。)


■コースタイム:三葛ー(30)ー入渓ー(140)-沢終了/登山道ー(80)ー広高山ー(55)ー沢終了地点ー(65)ー三葛 【単位:分】

■資料 『西中国山地の沢』:三浦 著(宇部山岳会)
 西中国山地の沢はほぼ網羅されているようです。詳細な遡行図がついています。
■参加者:赤澤、久保、以上2名

■温泉:やすらぎの湯・『匹見峡温泉』。匹見町役場に近く匹見ウッドパーク内にある。入浴料は650円でちょっと高め。天然温泉だが沸かし湯。しかし泉質はまろやか、露天風呂は日差しをさえぎる屋根付き、ひんやりした山の風を受けすこぶる快適です。
匹見峡温泉 露天風呂