祖母傾:角内谷(土岩谷支流)〜障子岩 【2004.08.08】


■祖母・傾は、沢・谷の宝庫であるが、傾山東面及び障子岩周辺は訪れたことが無い。『祖母傾最新情報』に惹かれて今回障子岩にあがる谷のうち南面土岩谷支流の角内谷を訪ねることにした。


■前夜(08/07)発で、メンバーは3名の車2台。宿泊は、河川敷の公園:原尻の滝から尾平へ向かって1.8km程で緒方川を渡るが、橋の手前右側の整備された公園。深夜は通行する車も殆どなく静かで快適。

 取付きの土岩集落までは40分ほどで到着。下山路は障子岩〜上畑の予定なので健男社駐車場に1台駐車しておく。土岩谷を渡る橋のたもとに駐車(標高:399m)する。
支度を整えて、6:50入谷。すぐ横だから30秒とかからない。角内谷取付である二俣までは土岩谷を遡行する。土岩谷は、上流に60mクラスの滝を持つ谷で、『九州の沢と源流』に紹介がある。

 日照り続きの為か水量は少なめだが、谷は明るく二俣までは、ナメ滝や小滝、天空の開けたスラブが適度に配置され結構楽しく遡行できる。ただここも御多分に洩れず人工構造物=堰堤(大1、小1)があり、綺麗なナメが切断されている。勿論、堰堤の上流は埋もれて単なる河原と化している。


橋のたもとから入谷。角内谷取り付きの二俣まで結構愉しめる

 7:50、標高:570mの二俣着。小休止する。

 右手の支流が角内谷である。水量は本流の半分くらい、水と戯れるには足りないが・・・
 
 8:00スタート。樹木に覆われ少々薄暗い。小滝やナメを越えていくと15mクラスの明るい滝にであう。

取り付いてみると、適当にホールド、スタンスがありフリーで越える。続く10mクラスはスラブ滝で行けそうにないので左を巻く。
7:50、二俣到着。小休止 角内谷遡行開始。少々暗い!

夏の太陽を浴びて快適に越える 無理せず左から巻く 小滝、急なゴーロが続く

上流は、急なゴーロと小滝が続く。標高700mを越えると急角度で20mはありそうな直瀑が出現。数段ありそうだが傾斜が強く上の段までしか見えない。見るからに立派な?滝だからこれが『角内の滝』?だろう。しばし滝見物で休憩、時刻は8:50、二俣から小1時間だ。

ここは左を巻く。急傾斜の泥ルンゼを辿り、途中から右手岩棚を伝い右上すると上段の滝がよく見える尾根に出る。上段も20m内外?のストレートな滝でなかなかの迫力である。見ただけで不可能!。上段もそのまま左を巻く。


←角内の滝?この谷で一番見栄えのする滝らしい滝!水量多ければ大迫力でしょう。


角内の滝?:下段 角内の滝?:上段。この上もありそうだが未確認

谷に戻ると次は遮断機のような倒木のある10mクラス。トポにある『観音開き扉』を持つ倒木滝?直登は無理なので左を巻いて滝上に出ると、次は二条の滝で樋状、足を突っ張って快適に越える。

巻いて、巻いて、又巻いて・・・・いじけそうになるころ登らせてもらえる・・・・沢登りにはこのリズムというか、人と自然の呼吸が合うことが大事です!。

次も10mクラス。見るとこれはいけそう!易しい所をいけば次第に左へ導かれレッジにでる。ここから水流に沿ってあがろうとするが、カッチッときまるホールドがない。しかも黒光りしている所はぬめっておりいやらしい。

行きつ戻りつしたが、結局無理はしないことにし近くのブッシュを使って懸垂、滝下に戻る。ザイルをかけたブッシュに蜂の巣があったらしく数ヶ所刺されてしまう。今日はアブのいない快適遡行だったのに・・・・。


仕方ないので水のないところをあがるが、これまた見た目より容易でない。最後は右端ブッシュの木登りで越え、ザイルを出して後続をあげる。すぐに次の滝だ。上部が丸底の樋状で三段。これも10m以上ありそう。ランニングビレイは取れそうもないのでパス。左手を巻いて越える。

二条。上流には次が控えている


倒木が通せんぼ。観音開き扉?の滝 やさしそうなこの滝も通過に時間がかかる 三段の滝。左から巻く

次は15mクラス。水流のある中央部がフレーク状になっている。いけそうな気がするのでチャレンジ、左から取り付き中央へ出る。ここまではOK。フレークを強引につかんで登れないことはないが上部は傾斜も強く難しそう・・・・あきらめて下降、左から巻く。谷に戻ると小滝:1が続き2段の滝:2に出る。下段を越えるが上段はも無理、ここは元に戻り右手支流を少し登りトラバースして滝上に出る。

このあたり、先程から大小さまざまな滝が連続、遡行に飽きることはない、が体のほうは少々お疲れ気味!
時間はたっぷりあるので休憩多め、登行速度控えめに次から次に現れる滝を処理?していく。



1.小滝が続く
水流沿いにいけば行けるかな? 上部は厳しそう!撤退、左から巻く 2・右手から巻く


標高が900mを越えてくると全体の傾斜が落ちる。谷に戻り、10mクラスの順層の滝:3,4を2つ快適なシャワークライミングで越える。水流は細くなり、傾斜の緩い小滝:5を越えていく。渓相は次第に源流の様相になってくる。

小滝を超えると天空が開け日が差す。流木を乗り越えガレを右に見送れば小滝。時刻は12:00になるのでランチタイムとする。ここは標高は1000mくらいだからあと300mである。
釜を持つ
小滝:6を登れば、上流さらに小滝群:7。水と戯れるには小滝が一番!何も考えずジャブジャブ登行すれば、又もや流木帯。ガレを右に見て本流を行けば正面に申しわけ程度に水流のある小滝。本流は左である。倒木をくぐると正面に、両岸を垂直の岩の衝立で囲まれた暗〜いゲート!・・・・角内ノ滝とならぶ本日のハイライト、ゴルジュ出現!


4.この滝も楽々!クリア
3.順層で快適なシャワークライミング 5.小滝が続く
6.ランチタイムの後、早速一登り 7.愉しい小滝群

9:苔むす穏やかな源頭
8:小規模だが暗〜いゴルジュ帯 10:段状ナメ滝で遡行は終了。

 両岸は5-10m、奥行きも大したことはないが幅が狭い為薄暗い。奥へ進むと幅は50-60cm程に狭まりチョックストンのある滝:8がある。右から乗り越えると右手後方から水流!・・・なんと流路は鋭角的に折れ、ヘヤピンカーブのように130°以上ターンしているのである。1人通過するのが精一杯の樋状滝から清水がほとばしり出る。シャワーで越えるとゴルジュから抜ける。このゴルジュ、規模は小さいが遡行終了間際をかざるアクセントになっている。

 ゴルジュを抜けると釜を持つ5mクラスのチョックストンをもつ樋状滝。これも楽にクリアすれば岩は苔生し源頭:9の様相。水流はなくなるが、そのままつめると僅かに水流が復活する。濡れた段状ナメ滝:10を通過すれば谷は終了である。


 標高:1100mで装備を解き靴を履き替える。さらにガレをつめ、1150m付近から尾根筋をいく。ササは、はじめは薄いが登るほどに濃くなる。ササの尾根には明瞭な鹿道があり、濃いわりには登行は楽だ。14:00、息も切れることなく標高:1300mあたりの縦走路に飛び出した。ほぼ計画通りである。小休止の後、前障子(障子岩)へ向かう。途中、1088mを経由して集落に下降する尾根道を右に見て障子岩分岐着が14:30。障子岩ピーク往復後、15:00に上畑へ向かって下山開始。上畑健男社駐車場着が16:50であった。


 本谷は中流域は傾斜が強く、巻かねば通過できない滝が多かったが上流になるとクライム可能な滝が多くなる。滝数も多く結構楽しめる谷だと思う。北面(神原方面)からも障子岩近くに突き上げる谷(マンリョウ谷)があり、八丁越経由で周遊できるのでおもしろいかもしれない。

からりと晴れた夏空にはなりませんでしたが、まあ満足できる山行となりました。参加者の皆さん、お疲れ様でした。

(Reported by Y.Kubo & Photo by K.Akazawa)

ガスに見え隠れする大障子岩 本山行参加者は、新、赤澤、久保の3名でした。


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