伯耆大山:一の沢右岸稜〜弥山 【2004.02.01】


■久しぶりに訪れた雪の大山、天候の崩れが予報より少しずれた為、春の陽光を思わせる快晴のもと南面『一の沢』の登行を満喫することができた。


◆1/31夜、18時過ぎ北九州出発、いつものルートで桝水スキー場駐車場にはいる。ここで幕営の予定だったが、舗装面の傾斜が強い。どうせなら快適なほうがいいので下山駐車場(23:30着)に移りここで幕営とする。明日の好天を約束する満天の星空のもと、0時半には就寝する。

翌朝は予想通り快晴!早目に起床し枡水高原スキー場に駐車場に移動する。見上げると大山は積雪たっぷり!快適な登行が期待できそうである。

身支度を調え、7時20分出発。冬季は閉鎖されている環状道路は立派なトレースがあり、快調に飛ばして45分ほどで一の沢との出合につく。ここからは今日の予定ルートが一望できる。丁度、斜光線となった朝日は雪面の『シワやふくらみ』まで浮かび上がらせ、さほど顕著でない本日の予定登行ルートも一目瞭然である。まだ日のあたらぬ沢から見上げる南壁は白く輝き、そのあまりの鮮やかさに感歎の声があがる。

取付(環状道路と一の沢の出合)から本日の予定ルートが一望できる

しばらく景色を愉しんだ後、表面がクラストした沢筋に足を踏み入れる。雪はこのところ冬型が緩んでいた為か新雪はなく幾分ザラメ状でしっとり重く、丁度5月の北アルプスのようである。脛から膝下程度潜るが、苦になるほどのこともなくゆったりペースで数ヶ所ある堰堤を巻いたり、中央部を乗り越したりして最後の堰堤まで行く。


一の沢取付。お天気に恵まれ嬉々としている御機嫌な面々 朝日に輝く南壁

最期の堰堤を左から越えそのまま左上すれば、右岸稜の標高1350m付近からえぐれて発生する小沢である。今日は気温が高く、時折上部の剥き出しになった泥壁からの落石がすごい速度で脇を通過する。危険なので早めにこの沢の左岸にあたるブッシュ帯に上がる。この辺りは傾斜が強いので新雪がある場合はかなり危険だろう。最期の堰堤まで行かず途中の適当なところから左手の樹林帯に入ったほうが懸命だと思う。
標高1100ー1150m付近。右手ブッシュ伝いにルートをとる。中央に張り出したドームが印象的だ!

ブッシュ帯にあがる辺りから陽光を浴びることになる。風はなく気温が高いのでまるでゴールデンウィークの北アルプスのようだ。一本立てて早速『お化粧タイム』だ。女性用の少し濃いめのファンデーションを使っているが、雪焼け防止効果は抜群だ。

ブッシュ帯は、雪の締りが下部より悪く膝上まで潜るが、交代でラッセルする。しばらくで左の小沢は尾根に吸収され、傾斜の強い雪壁に変わる。上部を見上げると右岸稜には雪庇が連続して張り出している。雪庇が崩壊すれば直撃を受ける可能性の高い位置にあるので、登行方向を少し左に振り左上気味に登行、稜線を目指す。最期は急な雪壁を乗り越えて稜線に出る。右手は広大な雪原が広がりそのままドーム状の岩壁の左を巻くようにして頂上台地に突き上げている。雪崩れの危険がなければ富士山の登行のような気分に浸れるだろうが・・・

稜線は少し雪も閉まり、傾斜も落ちる。 右岸稜上部の登行。頂上台地まであと僅か!

稜線、といっても広大な雪面にはみ出た僅かな『ふくらみ』にすぎない。傾斜は緩いがく、西風を直接受ける為雪は幾分しまっている。あとは忠実にこの『ふくらみ』上を登り詰めれば、頂上台地の山頂小屋近くに飛び出すはずだ。途中からアイゼンを履く。なくてもキックステップで十分だがトレーニングと割り切って足かせつけて頑張らなきゃもったいない!
各人のペースで最後の登行。下方に取付が望める 全員そろった所で記念撮影。弥山山頂

ダラダラ登りでこれといった核心部もなく台地に出る。小屋は目前である。右に一投足で弥山山頂着。時刻は11時ちょっと過ぎだ。晴天の割りには登山者が少ないようである。縦走路もトレースはないようだ。後続を待っている間に3人のグループがアンザイレンし縦走に出発した。我々も時間あれば剣が峰往復、と思っていたが・・・
待っているうちに南西の風が次第に強くなり雪煙を上げる。気温も下がり始め寒い!寒い!・・早くおりて温泉行きましょう!、ということであっさり剣が峰はあきらめ、ラストが到着し次第下山することにする。

2月1日の大山主稜。晴天のせいか今日は一段と輝いています! 雪に埋もれた頂上小屋

11:45待望のラスト到着、記念撮影しすぐ下山にかかる。一段と強くなった南西風に追われるようにして6合目小屋までかけくだる。ここまで下降すると風は極端に弱くなり穏やかだ。少々腹ごしらえして『大の沢』の時と同じく西面ルートで下山開始。新雪はなくなだれの心配はないので沢のど真中をトラバースしながら下降、横手道に出る。更に15分程で桝水原スキー場の上部に出る。スキー場は、迷惑にならぬように端をかけくだり出発地の駐車場に13時半過ぎに到着した。13時50分過ぎには全員集合した。ちょっと物足りなかったかもしれませんが、次回頑張りましょう!参加者の皆さん御疲れ様でした。
(Reported by Y.KUBO Photo by K.Akazawa & Y.Takaki)
北壁(墓場尾根ー大屏風岩ー小屏風岩) 6合目避難小屋から大山西面をトラバース気味に下降

■本ルートの注意点:悪天時はルートがわかりにくい、と思われるが困難な個所はないのでひたすら尾根筋を忠実に詰めれば頂上台地に出られる。新雪時など雪崩れの危険を感じる場合は迷わず適当なところから左手樹林帯に上がるべきである。

■参加者:岡田、鉄井、新、高木、岡村S、速水、橋本、赤澤、久保、以上9名
■温泉:神郷温泉。入浴料に変化がありました。以前は、タオル付きで@¥800でしたが、現在は、タオル無しで同金額です。
■装備:冬山装備一式。その他念のためザイル、ハーネス、等準備したが使用せず。

朝日に輝く南壁