伯耆大山:烏ヶ山 南西尾根 【2004.02.29】

冬から春への季節の変わり目、三週続けて週末に低気圧が列島を通過する。予報によると、米子地方の前線通過は29日午前9時前後のようだ。

天候がそうならこちらもそれなりの行程でいこう!・・・・午前9時頃、前線通過。通過後3時間もすれば天候は回復に向かう。

9時頃から登山開始〜12時過ぎに山頂着、その頃は天候回復、快晴の青空をバックに大山を仰ぐ!・・う〜ん、なかなかいいネエ、しかし山の天気のこと、思惑通りいくかどうか?

本日のコースは奥大山スキー場が起・終点 車道から直接尾根に取り付く

■28日、18:00小倉出発、急ぐ必要はないので小郡ICで高速を降り山口で夕食を摂りそのまま9号線を行く。

 まだ降雨はなく9号線のドライブは快調、宍道湖近くで久しぶりのステーションビバーク。静かな駅舎で快眠!

 夜半から降雨あり、おおむね予報通りである。6時には起床、降り続く雨の中、R9〜R181〜江府町・江尾へ、ここから大山道には入り、奥大山スキー場行きの南大山大橋横の東屋で朝食。この頃になると小降りになる。

 9時前には奥大山スキー場駐車場(無料)にはいる。雨はほぼあがる。支度して9:20には出発、今回もスキーを携行する。車道を鍵掛峠方面に行き、通行止めのすぐ先でスキーはいて右手尾根に取り付く。

 傾斜が強い尾根下部を避けてスキー場に出、滑降コースの左端をのんびり登行、しばらくして又、尾根にはいる。しばらくで急傾斜になる。シールでの登行は不可なので、スキー用のクランポンをつけてみる。難なくクリア、クランポンの威力ありそうだ。やがて2本目のリフト終点横に出る。ここからは本格的な登りになるのでスキーをはずす


 ガスが立ち込め視界は40-50mといったところ、淡々と高度を稼ぐ。

 やがて1201mのピーク。小休止してマップとコンパスで方向確認。尾根筋は切り開きされているようでわかりやすい。


【左図:南西尾根登行ルート概念図】


リフト終点から本格的な登り 1201mのピークで小休止。尾根筋は明瞭

尾根の右手蛇谷側は、雪庇が出ており、このところ気温が高かったせいか崩壊箇所が多い。最盛期は相当の張り出しが予想される。

融雪が進んでいるため踏み抜く箇所が多々あり、時折股下までもぐるが、これといった悪場もなく標高1300mを通過。あと150mほどだ。一本立てる。このままずるずる稜線?なんかピリッとこないねえ・・・・。

尾根は傾斜がまし、細くなってくる。右手は雪庇の張り出しが大きい。慎重に詰めていくと急にガスがうすくなり見通しがきくようになる。ぼんやりだが急な雪壁とそれに続く壁?が視界にはいる。ぐっと見上げる程の傾斜である。やはり出てきましたヨ。頂稜直下のこの壁?が、尾根の核心部だろう。


近づく本日の核心部!
ルートは中央黒い塊(急崖)の左手
雪壁を直上し、
ブッシュの壁に取り付く


尾根の左側の小さなカール状の雪壁の向こうには急な尾根がある。南峰を頂点として、その尾根と我々のいる尾根を扇形に派生させている地形になっている。我々のいる尾根はブッシュのびっしりついた急崖につながっている。急崖は無理のようだがその左側はいけそうだ。

ここからアイゼンを履き、念のためハーネスをつけ、雪壁に取り付く。40mほどステップを切ってあがって見ると急崖の左は潅木がびっしり!先々週同様、スキー板が引っかかって苦労しそうだ。あせらず、あわてず右に左に身をかわして急なブッシュ帯を40mほど登れば次は思わず両手をつく急傾斜の雪壁に出る。雪壁を40mほど直上すれば、またもやブッシュ!我慢我慢、と身をかわして漕げばひょっこり雪の平坦地!・・・あれっ、終了?・・・ガスって周りは見えないが着いた所は、細長い南峰の烏ヶ山よりの一角でした。


上部の雪壁の登行。両手両足で快適登行! ブッシュ帯を抜け雪壁に取り付く鉄人の鉄井さん

 到着は、13:00。ガスで見えないが南峰にはもう1パーティいるようで声が聞こえる。
『そっちが頂上ですか〜』とガスの中から問いかけに、『ここじゃないですよ〜』と応えたら、すぐ年配の方がガスの中からあらわれた。彼らは鏡ヶ成から、とのこと。2,3情報交換した後、彼はすっとガスに消えた。

やがてガスが薄くなり、小さなコルをはさんで烏ヶ山本峰がぼんやり浮かぶ。モノトーンの幻想的な風景だ。


幻想的な烏ヶ山本峰 烏ヶ山山頂。
皆さん、御機嫌よろしいようで!

 6人パーティがアンザイレンして近づいてきたので、我々はコルに下り烏ヶ山本峰に取り付く。ちょっとした岩場を越えれば数分で山頂、13:30着。このころガスが切れ始め本日の登行ルートが俯瞰できる。大山も望めるかな?・・・待てどなかなか晴れない。

本日の登行ルート:
南西尾根(烏ヶ山本峰より)
南峰。左は烏ヶ山北壁

 そろそろタイムアウト、下山の時刻である。鳥越峠経由で下山予定であったが、時間がかかりそうなので取りやめ、南峰と本峰のコルから沢を下降することにする。14:00出発、コルに下降、アイゼンをとり、シリセードの準備をしていたら大山方向のガスが切れ輝く槍尾根が姿をあらわした。やったね、ほぼ計画通りだ。満足、満足!・・・日も射し、気温も高くまるで春山の陽気、気分は爽快、爽快!つい笑みがこぼれる。

シリセードの準備に移りましょう!
観て見て!あれが槍尾根
【写真左:コルに下降】

 コルからシリセードをまじえながらあっという間に標高1100m近くまで下降する。この辺りから傾斜が落ちるのでスキーを履く。勿論、樹林間を縫うように、とはいかないが少しは進歩したと見えて転ぶ回数が少なくなった。滑りやすいところを気ままに行けば木谷の左岸に入り込んでいた。

 しばらく行くと水流が出てくる。更に行って左から尾根が迫ってきた所で右岸に渡渉し、右手ブナ原生林の台地に上がる。

気分のいい沢の下降。
まるで春山です。
シリセードで一直線に下降。
本当はスキーで下降したいのですが!



 日が射す冬枯れたブナの林間は爽やかだ。更にスキーでのワンデルングが爽やかさを倍加させる。満ち足りた気分でのんびり下降すればやがて堅雪の車道に出た。更に数分で今日の取付に出る。振り返ると大山の主稜が輝いている。4時には駐車場に到着。今日は、午前中はガスの中であったが、ブッシュの壁、雪壁、シリセードそしてスキー、とおおむね満足のゆく一日となった。キテヨカッタ、ね!参加者の皆さん、お疲れ様でした。

(Reported by Y.Kubo , Phpto presented by K.Akazawa & Y.Takagi)


南西尾根(左)をバックに!
そして大山(右)をバックに本日は終了!お疲れ様でした。

■参加者:鉄井、高木、赤澤、久保、以上4名
■主要装備:冬山標準装備(スコップ、ザイル、ハーネス含む)+ショートスキー
■帰北:神郷温泉19:00発〜小倉着23:00(東城〜小倉南高速利用)