西中国山地:高津川水系 つむぎ峡〜額々山 【2004.04.25】

■寂地山系はカタクリの花の季節、女性群が右谷山に花鑑賞に出かけることになった。便乗、と思ったが、折角のことだ、カタクリの尾根につながる沢はないか?・・・勿論、『濡れない』沢がいいが・・・

昨年出かけた広高谷は、新緑がみずみずしい谷であった。資料によると、広高谷南側の尾根一つ挟んで『つむぎ峡』なる沢(谷)がある。滝の数はさほど多くなさそうだが、三葛を起・終点として額々山経由で一周できそうである。しかも下山路は昨年と同じルートになる。よしここに行こう!・・ということで3名で出かけることにした。



■北九州(小倉)発、5:25AM。六日市IC〜七日市〜ゴギの郷経由で三葛着7:30AM。途中、路上の気温表示は3℃を示していた。標高500mを越える山間部だからかなり冷え込んでいるようだ。河内神社入り口近くの広い道路の路肩に駐車する。

気温が低く沢登りする気分じゃないが、そのうち暖かくなるだろう・・・身支度をして7:55出発。民家の横を通り堰堤を越えれば取付である。

【写真右:つむぎ峡取付

緩い傾斜のナメから清流が注ぐ浅い瀞から8:05入渓。谷の下流なのに水は驚くほどの透明度である。又、予想したよりり明るい渓相で気持ちよく遡行できそうだ。



つむぎ峡〜額々山登行ルート概念図
【参考】:西中国山地:広高谷〜広高山 2003.05.18


2−3のナメを越えていくといきなりF1:7m!資料の写真より水量が多い。水流の左水際を行くしかなさそうだ。釜を回り込んで取り付くが、もうしぶきを浴びる。朝8時から冷たいシャワー浴びたくない!、と左壁にルートを探すが傾斜が強く滑って困難。結局、水流に押しやられる。ホールドつかめば冷水が手を伝い上半身ずぶ濡れ!滝上に出たときは全身濡れ鼠になってしまう。頭も気分もシャキッーとしたが、寒い〜!

取り付いてしばらくでF1:7m。
盛夏なら気持ちよくシャワークライミング!でしょうが、気温10度に満たない今はネ・・・

 F1を越えると斜滝、ナメ滝が続く。まだ山里なのに谷奥深い雰囲気、清流を気ままに操るように配置された苔むす岩と白い帯の調和が心和ませる。ストレートに気分が自然に浸れるのは朝一発浴びた冷水シャワーのせいかも・・・・。

行く手に岩壁が立ちはだかる。谷は左に直角に曲がる。まわりこんで覗くとせまいゴルジュの奥にF5:10mが白い身をよじって釜に落ち込んでいる。F5の上部にはF6の水流が見える。行くなら右しかないが人工手段なしにはいけそうもない。ここは左壁を小さく高巻いて滝上に出る。

次のF6:10mも豪快だが、右手がいけそうだ。緩傾斜の岩場をあがり易しいところを追うと次第に水流に近づく。丁度いい間隔でホールド、スタンスがあるが滑って気持ちがよくない。ゆっくり、そして慎重に歩を進めてクリア。

F1を越えると、早くも奥の院のような渓相
ゴルジュの奥に懸かるF5。左壁を小さく巻く F6は、水流の右手。岩がヌルヌル、要注意!

F6を越えると次はF7。釜のある2段の滝で、左岸のヘツリから始まる。
下段の落ち口までは特に問題はない。落ち口からは上段の右岸に移り、右岸をヘツルのがルートのようだ。

右手に岩が出っ張っており落ち口の対岸のスタンスまで足が届かない。
足許の岩はひっかかりのないスラブ、出っ張った岩にホールドがない。飛び移るしかないが、落ちれば深〜い釜にドブ〜ン!怪我はしないだろうが冷えあがるだろうな・・・と思うと絶対失敗できない。

そのまま左岸をへつってみるが、上に上に押しやられかえって危険だ。やはり、落ち口を渡ることにする。

出っ張り岩のリスにハーケンを打ち込むが入らない!仕方ないので気は心!少し戻ったところで確保してもらい岩にへばりついて回り込むことにする。

出っ張り岩上部に手を掛けあらためてホールドを探す。落ち葉を払いのけ堆積した泥を払うと小さなホールドが見つかる。右手を掛け足を1歩進め、左手を伸ばすと細かい岩の突起!

これでクリア!

【写真左:釜を持つF7はへつり、写真右:最後の一歩は要バランス!

もう少し丁寧に探せばよかった、と反省。もっと丁寧な登行をしなければイケマセン!

F7をクリアすると、後はF8まで『平凡な転石帯が長く続く』となっている。しかし、どうしてどうして、気合の入る大滝はないものの芽吹いたばかりの爽やかな新緑を従えた小斜滝やナメ滝が適度に現れ退屈なんぞしません。1時間ほど沢遊びを愉しむと、いよいよ2段の滝:F8に出る。


F7〜F8の間は、芽吹いたばかりの新緑が眩しい沢遊びです。

【写真左:2段の滝F8】

 F8は2段の滝で上段、下段ともに釜がある。
下段右手岩を登り上段の釜の淵に出る。
見るとルートになりそうなところは全て水流がある。

 ここもシャワーしかなさそうだ、が念のため釜に入り、右をヘツリ水流直下まで行く、が水流が直接かかりあっという間にずぶ濡れ!冷たさ通り越して寒い!

 取り付きからちょっとの間が難しそうだ。時間掛ければいけるだろうが体は冷え切ってしまう・・・・やめた!

あっさりギブアップして右手を小さく巻く。

【写真下:F8を越えると更に滝が続くが、容易】
 

 F8を越えると、5〜7mの滝が続くが、容易に越えられる。やがて大きな露岩帯に出る。ここが二俣で、谷は、右俣(ウサゴエ谷)と左俣(ククリキ谷)に分岐する。
標高は、およそ830m、時刻は11:00AMである。

谷を分つ露岩帯。左がククリキ谷(左俣)、右がウサゴエ谷(右俣)


 目標は、額々山なので、ウサゴエ谷(右俣)に入る。すでに850mを越えているので残り400mちょっとである。

水量も半分近くに減少したので、この辺りから平凡な沢になるのかな、と思ったがそうでもなく、小滝が続く。殆ど直登可能、折角の沢遊び!できるだけ水流に沿って行く。

二俣辺りからわさびが見られるようになる。資料では、わさび田があったようであるので、それがもとになって繁殖したのかナ?

茎を取って口にすると、あのわさびの香が広がる・・・・青空と新緑のもと、これで冷酒、いっぱいやりたいねえ・・・45分ほど伝うと小さな二俣に出る。標高はおよそ1000m、時刻は11:45。

流れは更に細くなるが、右が若干多い。マップ照合。どちらでも大差ないが強いていうなら、左は最後が急傾斜で稜線、右は距離は少し長くなるが緩傾斜で稜線である。
右を取る。


露岩帯の二俣から、標高1000mの二俣までの間も退屈しません。
上部の二俣でマップ確認。右俣を取る。水流は更に細くなり源流域に入る

10分ほどでf再び流れは2分する。今度は左をとると10分ほどで水が涸れる。
しばらく行って右手尾根にあがる。尾根は、下草は芽吹いたくらいでブッシュもまばら、藪漕ぎというほどのことはなく難なく稜線に達する。


時刻は12:30、標高1240mの稜線着。稜線には踏み跡やテープがあり、ルートは明瞭である。
いまは稜線は早春!だから浅藪だが、盛夏の頃は猛烈な薮になるのかもしれない。

小休止。冷たいものを一口いただき靴を履き替える。
12:55、額々山へ向け出発。すぐにカタクリの群落に会う。花を踏まぬよう注意していくと広高谷分岐、踏み跡しっかりしておりテープもある。更に一投足で額々山山頂に到着、時刻は、13:10。山頂から眺望はあまり得られないが寂地山はブッシュの間から望まれる。

春のそよ風にやさしくなびくカタクリの花。群落の中に白いカタクリを見つけました

広高谷分岐。下降路は踏跡明瞭 額々山山頂。遠くは寂地山

広高谷分岐から下降、40分程で谷に降り立つ。右は広高山だから左折、緩い傾斜の谷沿いに行く。数回、渡渉していくとやがて右岸山腹を巻くように登山路はつけられている。やがて、林道に出る。広高谷を2回ほど渡ると林道は舗装道路に変わりやがて三葛の集落に出る。駐車地点に戻ったのが15:10。

今日の行動時間はおよそ7時間強、好天に恵まれ予想していたよりははるかに愉しい山行になった・・・・・冬も春も西中国山地に魅せられそうだ。


広高谷の柔らかで若々しい新緑、いまが一番!かな。標高900-1000m位。


【Reported by Y.Kubo & Photo presented by K.Akazawa, Y.Takaki】


●滝No。及び落差は、資料:◆『西中国山地の沢』(宇部山岳会 三浦 章著)◆HP:ヤブ山突撃隊、の遡行図にしたがいました
●参加者:高木、赤澤、久保、以上3名