西中国山地:匹見二ノ谷(高津川水系)   2005.06.26

■季節は梅雨だというのに雨が降らない・・・・しかも梅雨明けのような暑い日が続く・・・・こんな時は沢登がイチバン!
今回は参加者5名となったので、前回延期した『匹見ニノ谷』に行くことにする。5名まとまれば、仮に熊に遭遇しても何とかなる?でしょう!

■コースタイム:門司〜下関(6:00)〜三ノ谷駐車場(8:45-9:00)〜ニノ谷取付(9:45-10:00)〜野田ヶ原ノ頭:(14:15-14:35)〜三ノ谷駐車場(15:45)

■参加者:林、中原、原田、赤澤、久保、以上5名
■遡行図:『西中国山地の沢』(三浦 章 著)を参照ください。

匹見二ノ谷登行ルート概念図 時折、本降りになる荒れ模様でしたが
久しぶりの沢登に御機嫌な参加者

■駐車場で支度して9:00出発。R191の橋のたもとまで出て匹見川左岸を下る。一旦、R191に出るが、すぐ左岸に渡り取付まで林道を行く。

 二ノ谷出合は、悲しくなるほど水量が少ない。ひょっとしたら上流は水流がない?・・・・そういうことはないだろうが、そう思いたくなるほど少ない。しかもやけに暑い。

 2ヶ所、堰堤に行く林道を左に見送り、汗を拭き拭き夏草の生い茂る林道を辿るとしばらくでコンクリート橋で左岸に渡る。この橋が取付である。

 標高はおよそ500mだから稜線まで標高差は600mである・・楽勝?かな

←取付は、ごく普通の谷


10:00、装備を装着、流れわずかな谷に入る。しばらくはゴーロ、時折、滑床や小滝が現れる。適当に濡れながら進むが、さすがに谷!ひんやりした空気が肌に心地よい。汗が引き、気分が谷に馴染む・・・と、谷も谷らしく少し両岸が近寄って来る。やがて釜を持つ滝(F1)、両岸ヘツリは困難、泳ぐしかないが・・・ここは右手を小さく巻いてすぐ谷に戻る。


ひんやりした冷気に次第に汗も引き、気分が乗ってきます

泳がず右手を小さく巻く 今回も動きのいい中原さん しぶきを浴びる直登は愉しい

 いくつかの小滝を越えていくと、右手に十方山大谷にある『金庫岩』のような大岩がある。

 辺りは広葉樹の緑鮮やかな人手を排した自然のたたずまい!ほどよいスケールの『庭園』が続く。

 谷は、両岸が岩壁のゴルジュ帯(第1ゴルジュ)に入る。少し流倒木の多い箇所があるが、我慢の範囲だ。

 小滝が適当に配置されたゴルジュを行く。両岸の切り立ちは低く圧迫感はない。直登したり、巻いたりして愉しむ。曇天の空が時折開け谷に日が射すとフラッシュを浴びたような緑が眩しい。

                            
右手にブッシュの生えた大岩

ゴルジュといっても周りは開け明るい。直登したり巻いたり・・・愉しく越えて行く

ここらで一本立てる。
時刻は、10:50
日が射すと緑が輝くゴルジュ帯 この滝が第1ゴルジュの出口

 10:50、出発して1時間足らずであるが、新緑鑑賞と腹ごしらえのため一本立てる。乏しかった水量はいつの間にか復活!したようで新緑を仰ぎ見ればいつもの水音が耳に優しい。10分ほど休憩して腰を上げる。

 小滝を越していくとCSの滝。ツッパリで越える。続く流木のうるさいところを越えれば、第2ゴルジュである。釜の奥に流木の懸かるCSの滝(F7)が入り口である。
 原田さんが、泳いで取り付く。懸かる流木伝いに一段越える。しばらく上部を見ていたが難しそう、とのこと。無理することはない・・・・撤退!

 ここは遡行図どおりに右岸を巻くことにする。5mほどの岩を登り、不安定な草付をこえ適当なところから20m弱の懸垂で谷に下降する。
谷に降り立つ頃、先ほどからぱらついていた小雨が本降りになる。ここはゴルジュの中、ウロウロしていたらイケマセン!


無理せず撤退
第2ゴルジュ帯に入る。泳いで取付いたが
上部CSの滝が困難?
左を高巻く 懸垂下降で
谷に降りる

 ゴルジュを進む。続く釜は左手をヘツリ、奥の斜滝に出る。ここも深そうな釜がある。見ると直径40cm程の倒木が懸かっている。大木の右には多分、遡行者がおいたのだろう、手摺になりそうな小さな流木がおいてある。これをうまく使い難なく斜滝に取り付く。

 注意して中段に出、上段は右手の壁を一登りで滝頭に出ると、大岩にリングボルト3本が残置してある。1本は錆もなく比較的新しい。打ち換えてくれたのかもしれない。ザイルを出してこの滝は快適に通過、ここで第2ゴルジュは終了である。本降りと思ったが先ほどは通り雨か、全員滝頭に出たときは小雨になっていた。

左手をヘツリ最奥の斜滝へ 手摺付きのブリッジ? 林さん、快調!

 ゴルジュ帯を抜けたところで2回目の休憩、時刻は12:10、概ね半分くらいまで来た様である。一息入れて、12:20後半戦スタート。
すぐに二俣、水量の多い右をとると・・・・・あるわ、アルワ、あるわ・・・小滝の連瀑帯!

 すべて直登できる小滝群は、ゴルジュ通過の御褒美みたいなもので、ゴルジュで少しばかり緊張した気持ちを開放してくれます・・・・勿論、気を抜いたら怪我しますけど。
12:10、2本目を立てる 二俣は右へ

右俣を行けば小滝群に遭遇・・・童心に返って滝登りを愉しむ

 この谷、なかなかしぶとい!休ませてくれません。しかしここまで来ると水流は細くなり、終了点が近いことをうかがわせます。

 しばらくで苔むす造園風の斜滝、立ち止まって見るほどになかなかの出来栄えだ・・・そういえば今日はみんなで記念撮影していない。撮るならここしかなさそう・・・・で全員集合。

 しかし小滝はまだ続く。下部が少しかぶり気味のF11は左手から越える。直登は上部が難しそうだ。F11を越えると滑がが出てくる。もう源流域に入る。F14の斜滝を越えれば実質的な遡行は終了、あとは稜線まで笹薮を漕ぐだけである。


なかなかしぶとい まだ手が抜けません 全員集合。
たいそう愉しませてもらい気分爽快!

更に斜滝を越えてF11へ。F11(右写真)は左手から越える
F11を越えると滑が続き源流の様相、F14の斜滝(右写真)を越えると遡行終了。
あとは稜線まで笹薮を漕ぐだけだ。

 F14を、13:15通過、次第に傾斜の緩い笹薮帯に入る。しかし細くなったとはいえまだ水は枯れない。次第に細くなる流れを追う・・・・標高1000mを過ぎてやっと水が消える。稜線は1100mしかないのに1000m辺りから水流があるなんて・・・やはりブナ林は水が豊かなのである。

 途中で方角確認、どうも小さな分岐のたびに左を取ったため方角が北よりになったようだ。地形図を確認、東よりにチェンジする。背丈ほどの笹だが祖母山ほど密藪ではない。

 13:50、平坦地のような稜線に出る。登山道はない。目標の野田ヶ原の頭の西側に出たようである。少し偵察すると右手奥に、ついこの間歩いた天杉山が目に入る・・・・これで現在地確認,、概ね東方向にササを漕ぎ、小高い丘に登れば『野田ヶ原の頭』の小さな標識の前に出た。時刻は、14:15である。


 地形図を見ればわかるがこの辺りは、等高線の幅が緩く一部平原状をなしている。背丈ほどのササのため見通しも悪いので注意が必要だと思う。ガスがかかればなおさらだ。

 下山は、よく踏まれた登山道、辺りは一面のブナの自然林・・・・ブナを愛でながら、しかし少しだけ足にネジ巻いて駆け下れば、15:45駐車場に到着。

 今日は、滝の数もわりと多く、雨には降られたもののほんのわずかの時間で、愉しい1日となりました。

 西中国山地の沢(谷)は、スケールはさほど大きくないが樹林帯がすばらしい!皆さん、ぜひ訪れてみてください。
(Reported by Y.Kubo & Photo by K.Akazawa)


野田ヶ原の頭に到着、
お疲れ様です!
お色直しして下山にかかる ブナ林を愛でながら下山

新緑の時期は過ぎましたが・・・まだまだみずみずしい!

■参考:西中国山地:天杉山〜恐羅漢山  2005.05.22