伯耆大山(主稜):宝珠尾根〜弥山 2006.03.26

■『三鈷峰西壁は雪は無かったですよ!』・・・03/21、宝珠尾根〜ユートピア小屋往復した岡村・新谷パーティの情報だったが、同日6名で行った東壁は残雪たっぷり・・・新雪もあったぐらいだから多分、西壁は白くなくとも北面は残っているだろう、との希望的観測で、三鈷峰北西尾根に出かけた。しかしながら・・・・・・期待に反し残雪僅かで、もろい岩が剥き出し!・・・ブッシュやもろい岩を登るのは本意でないので標高1200mを越えたあたりで中退、宝珠尾根に戻り、久しぶりに主稜を弥山まで縦走することにした。

■参加者:新、岡村S、赤澤、久保、以上4名

■コースタイム:駐車場(06:50)〜下宝珠越(07:45)〜尾根取付(08:00)〜中退地点:1210m付近(09:00)〜中宝珠越(10:00)〜天狗ヶ峰(11:45)〜剣ヶ峰(12:00)〜弥山(12:20)〜駐車場(13:45)


 三鈷峰北西尾根偵察!

25日の夕方出発、天気予報はまずまず。21日と同じく駐車車両数台の下山の駐車場にはいる。風が強いので旧管理棟の軒先にテント設営、お湿り程度に飲んで早めに就寝する。26日、曇天、予定通り三鈷峰に行くことにする。
大山橋から望む三鈷峰は、報告通りで白地僅か!・・・しかし北面は行ってみないとわからない?・・・・・



        (右)大山橋から望む三鈷峰

 大神山神社経由で林道に出、そのまま下宝珠越にあがる。ここから尾根を離れて剣谷に下る。雪は時たま踏み抜くがおおむね締まっており15分ほどで谷に出る。そのまま横断、向かいの尾根に取り付く。このあたりは残雪豊富だ。

 急な雪壁を登れば次第に雪は薄くなり、ブッシュが行く手をふさぐ。藪漕ぎを交えながら尾根を忠実に辿る。左手に北稜の尾根が平行するようにのびている。尾根は次第に痩せ、ブッシュはひどくなるがそのまま進むともろい痩せた岩稜に出た。

林道から下宝珠越へ向かう 下宝珠越から剣谷へ下降 剣谷を横断し
尾根に取付く

剣谷から三鈷峰を望む。北西稜へは、剣谷を少し詰めて取り付いてもよさそうだ

剣谷から一登りで尾根筋に出る。尾根の剣谷側(右手)は残雪はほとんど無い

 北西稜と思われるルートを目で追う。しばらくはブッシュ混じりの痩せた岩稜、それを越えれば急に傾斜が増し、ドーム状のピークを登ることになる。多分リッジつたいと思われるがかなりな傾斜で結構厳しそうだ。地形図ではドームの頭は傾斜のない平地になっている。北西稜は、この平地から再度急勾配の壁を越え、あとはリッジ伝いで北稜の最終ピッチに合うはずである。雪に覆われると迫力のある雪稜登行と眺望が期待できそうである。

 残雪とブッシュを辿れば行けないことはなさそうだが・・・沢筋は落石の危険大だし、目的の北西稜からはずれる、しかも上部のリッジは泥壁と脆そうな岩のようだ・・・・やはりしっかり雪がついている時期(2月末〜3月初?)に出直した方がいい、と判断、中退することにする。

ブッシュを漕ぐと痩せた岩稜、少し岩稜を越えるとドームの登りになりそうだ

 少し戻り残雪の全くない剣谷側へ40m程懸垂下降する。少し下ると残雪、ステップ効かせて剣谷に降り立つ。左折して中宝珠越に向かう。少し登れば西壁の真下を通過する。ここは落石がゴロゴロしており、気をつけないと音もなく左から襲われる。

 見上げると残雪なし。西壁の左上のスカイラインが北西稜と思われるがここも雪は全くない。しばらくの登行で中宝珠越である。時刻はまだ、10:00である。このまま下山するのは、”もったいない”ので久しぶりに主稜を弥山まで縦走することにする。

北西稜から宝珠山を望む 剣谷に降り立ち中宝珠越へ向かう
西壁は全く残雪なし。この真下は落石ゴロゴロ、注意して右俣を取れば中宝珠越である

 主稜(宝珠尾根〜弥山)縦走

宝珠尾根自体は、一部泥肌を見せるが残雪豊富である。トレールを追えば上宝珠越、ここから普通は剣谷上部をトラバースしてユートピア小屋の少し下部に出るが、今日はそのまま尾根を詰める。

 右手は、泥壁が複雑に組み合わされた墓場尾根で、大きなスケールで元谷から稜線まで展開する。雪のない時期は崩壊が続き、その様相は絶えず変わっているようだ。上宝珠越から稜線までは一部傾斜が強いが危険箇所はない。やがて稜線に出る。

雪の消えた墓場尾根と天狗沢(右手) 大屏風岩〜小屏風岩と弥山に至北壁の尾根
宝珠尾根の登行
弥山の夏道より変化がある
上宝珠越から直接尾根を目指す
こちらもトレースが多い

 今日は曇天のわりには視界がクリアである。僅かの時間稜線を辿れば、東尾根分岐の1636mポイントを通過する。このポイントから天狗ヶ峰までは北壁と東壁の分水嶺を歩く恰好になる。左手には東壁本沢が急角度で切れ落ち壁沢、振子沢を合流させ地獄谷へ下っている。

 もう少し進むと壁沢が俯瞰でき、断崖のある右岸稜、軍艦岩?のある左岸稜、そしてつい先日(21日)ガスの中、登行した槍ヶ峰ダイレクト尾根も明瞭である。


壁沢を俯瞰する。左は軍艦岩?のある左岸稜、中央断崖のある尾根が右岸稜、
断崖の上部が槍ヶ峰ダイレクト尾根、その奥はキリン尾根
残雪豊富な鋭峰、烏ヶ山 天狗ヶ峰ピーク手前は氷結。
三鈷峰からの縦走路を望む。遠くに甲ヶ山、矢筈ヶ山

東壁〜烏ヶ山のパノラマビュー

 天狗ヶ峰手前は数mだが氷結している。注意して越えれば天狗ヶ峰に到着、休まず、なじみの槍尾根を左に見送り弥山への縦走路に入る。


 天狗ヶ峰からの稜線は、左の南壁と右手の北壁の分水嶺になる。天狗ヶ峰から剣ヶ峰をこえ弥山に至る縦走路を辿れば、雪の大山の代表的な景観を目の当たりにすることが出来る。

 この時期は、荒れさえしなければ雪も締まり歩きやすい。特にラクダの背あたりは夏より遥かに楽に越せる。


 北壁側は比較的緩やかだが、南壁側は雪の断崖である。剣ヶ峰を越えると両側が切れ落ちるナイフエッジ状の痩せ尾根が続く。時期が少し遅いのか、一部ガレが剥き出しになっている。ボロボロだから慎重に!風の強いときはザイルを出すべきだろう。

 ここを通過すれば、弥山が近づき登山者も確認できるようになる。


天狗を過ぎると南壁側に迫力のある雪の断崖続く。ピラミダルなピークが剣ヶ峰

天狗ヶ峰(左端のピーク)〜槍尾根。右奥は烏ヶ山
このあたりが核心部?
南壁側はガレが剥き出し・・注意!
弥山山頂の登山者が視界に入る

 弥山着は、12:20。小休止して下山にかかる頂上小屋は結構にぎわっているようだったが立ち寄らずに夏道を下る。午後になったがまだまだ多くの登山者があがってくる。前回は7合目あたりから元谷へ一直線の尻セードだったが、今日は、雪の締まりがいいのでもう少し下降した6合目あたりから一気に元谷へ下る。

 大堰堤あたりから見ると、やはり地肌が至る所で顔を出している・・・そろそろ新緑が待ち遠しい!季節になってきたようだ。

 朝と同じく大神山神社経由で駐車場へ戻る。駐車場着は、13:45でした。
 三鈷峰北西稜は、行けなかったが、大まかな地形の把握は出来た・・・・来シーズン、乞うご期待!

 今年の『雪の大山』は、本日が最後の山行となった。今年は都合3回、東尾根、槍ヶ峰ダイレクト尾根、そして本日の三鈷峰北西稜偵察と主稜縦走である。3月の一番いい時期の休日が天候に恵まれなかったのが惜しいが・・・ウィークデイに休めないから仕方ない。しかし今年も昨年同様未知の尾根、2本登れたので・・・・いいシーズンであった、としましょう。


弥山山頂と頂上小屋 宝珠尾根、三鈷峰、遠景は甲ヶ山
6合目から行者谷に出る 御無沙汰している元谷小屋 元谷の大堰堤

【Reported by Y.Kubo. Photo prresented by S.Okamura & K.Akazawa 】