伯耆大山:大ノ沢〜弥山 2007.01.20


■久しぶりに雪の大山に出かける。スキー場情報では、暖冬で雪が少ない、とのこと。行き先の選定に迷ったが、参加者のなかに雪の大山がはじめての方もいらっしゃるので、ストレートに弥山に突き上げる西面の『大ノ沢』とする。伯耆溝口方面から大山を見ると、西壁の中央の大きなV字の切れ込みが目を引く。これが『大ノ沢』で、頂上台地まで続く。下部は、人工物であるいくつもの堰堤が連なっている。前回【大ノ沢〜弥山 2003.2.23】は、右岸稜から弥山にルートをとったが、今回は、左岸稜から詰めることにする。

 当初の天気予報では、21日(日)が曇り時々雨、前日の20日は、曇り、19日は、曇り時々雨・・・・土曜日でも日曜日でも大同小異だが、なんとなく天候がずれそうな気がしたので、土曜日に出かけることにした・・・・たまたまだろうが、ピッタリ!20日は、日中はピーカンとなり、まるで春山!久しぶりにのんびりした山行になった。

■参加者:原田、新、赤澤、坂根(※)、勝野(※)、久保、以上6名 (※九州さんらく会)

■コースタイム:桝水高原スキー場駐車場(07:30)ー大ノ沢取付(07:45)ー最後の堰堤(08:50/09:00)ー弥山(11:05/11:45)ー(夏道経由)ー大山寺(12:45/13:45 昼食+大休止)ー駐車場(14:35)



参加者は6名。久しぶりに高速/新見経由とする。門司発08:45、時間調整して、00:05新見ICを出る。久しぶりの山越えだが、路上に積雪はなく運転は楽である。01:15、溝口着。コンビニで買い出しして、日野川左岸の堤防でビバークする。対岸がR181なので少しうるさいが、周囲に人家はなくなかなか良いサイトである。

 朝、桝水高原スキー場駐車場に移動する。以前は有料だったが、現在は無料。スキー場は気の毒なくらい積雪が少ない。
途中で大ノ沢を見たら堰堤が剥き出しだったので、沢も積雪は少ないと判断、ワカンを持参しないことにする。

 07:30出発。環状道路も雪は少ない。15分ほどで2つの壕を抜ける。抜けたところが取付である。左折して樹林帯にはいる。新雪は無く、春山のようでせいぜい潜っても膝までだ。堰堤につかず離れず進むと横手道。そのまま左岸を直上、樹林帯を行けば時たまテープがある。かなりな数の堰堤だが、そのうちにラストらしい大きめの堰堤が見えてくる。

【写真左:大ノ沢左岸取付、車道から樹林帯にはいる】

 堰堤の右端にでて小休止。この辺りまで来るとザラメ状になった新雪がある。数cmといったところだ。比較的締まった堅雪の上にザラメ状の雪が乗っている状態である。ザラメの部分が厚ければ当然雪崩の危険があるが、この程度なら大丈夫と判断、当初予定していた左岸稜をやめ、大ノ沢のど真ん中を詰めることにする。



積雪少なく堰堤は剥き出し 小休止して大ノ沢の真ん中へ出る

 堰堤を水平に沢中央まで移動する。トレースはまったく無し!・・・・やった、今日はついている!

 上部には、もう一つ堰堤があるが、巻きやすい右手から越える。上部に岩のような塊があるが、あとは開けた雪原で、まっすぐ稜線に向かってのびている。ここからはラッセルあるのみだ。岩のような塊は、岩ではなく、鋼鉄製の構造物が変形したものだった。多分、砂防の目的で設置したものが雪崩が、土石流で破壊されたのだろう。

 沢は、ほどほどの傾斜があり、急なところは、ザラメは滑り落ち堅雪が表面に出ているためステップを刻みやすいが、傾斜がゆるむと、ザラメ状の雪が吹きだまりになっており、歩きにくくなる。左右の岩稜からの小規模のデブリもあり、落ちるべきものは落ちている。


 傾斜は次第にきつくなる。せっかくの雪山だからラッセルは交代制、当然雪質に当たりはずれがあり、スムーズに進める場所にあたればいいが、そうでないとかなりもがかねばならない・・・・勿論、トップ。後続は、愉しみながら詰めることが出来る。右手、左岸稜には顕著なピナクルがあり、ワイヤかロープ状のものが見える。又、ポールのようなものも右壁にある・・・これは人工物?


大ノ沢の真中へ進む。上部の最後の堰堤は右から越える

左右からのデブリがあるが小規模。右岸稜に日が差し青空に岩稜が映える

 ジグザグにラッセルを続けると、緩やかながら左右から岩稜が迫る喉にさしかかる。さすがにここは急な雪壁になっており気合いを入れて通過する。この辺りが大ノ沢で一番傾斜が強いところのようだ。ここを越えると一旦、少し緩くなる。本流はここで少し左にカーブ、正面に落ちている岩稜を巻くようにして稜線に向かっている。我々は、正面の急なルンゼ状雪壁を詰め左岸稜に出る事にする。ここは更に傾斜は急で、気が抜けない。次第に雪が浅くなり、岩稜になる・・・・アイゼンなしでは少し危険だ、しかしここでアイゼンはくのは少々面倒、特に左岸稜にあがらねばならぬワケはないのでトラバースしてすぐ左下に展開する本流に戻ることにする。


広い大ノ沢を右に左にジグザグに進む。左岸に顕著なピナクルとポール?

正面の狭まった辺りが大ノ沢の喉になる・・・次第に傾斜が増す

大ノ沢の喉の辺りを行く このまま行けば左岸稜へ突き上げる

トラバースして大ノ沢本流に戻る・・・・そのまま詰めれば山頂へダイレクト!

 この辺りは、適度の傾斜で歩きやすい。ちょうど左手右岸に日が差しはじめ、新雪の白が、更に輝きをます・・・・紺碧の空に映える新雪に、一同感嘆!思わず声が出る・・・・冬季の大山ではこんなチャンスは滅多に出合わない。

 標高は、1500mを過ぎた辺り、最後の堰堤で休憩したあと休んでいないので大休止、トレースのない白く輝く新雪を存分に眺める。腹ごしらえし喉を潤したら出発。
しばらくラッセルすれば、二俣に出る。左へ行けば頂上台地に出るし、右を行けば頂上小屋の横をとおりピークに出る。右をとることにする。

写真右:左俣に向っているが・・・これは写真撮影のため。この後右ヘカーブして右俣へ向う
正面ピラミッド状の岩の左にルートをとる

 右俣にはいる。本流はピラミッド状に見える岩稜末端の左に展開する。きつくない程度でステップを踏めるので、のんびり詰めていくと両岸の岩稜が次第に低くなり、やがて左手にエビの尻尾のついたポールと頂上小屋が顔を出す。頂上台地に出れば、ピークはすぐそこである。
 11:05、山頂到着。スキー場駐車場から、およそ3.5時間、標高差が丁度1000mだから割といいペースで上がってこられた。


右俣似はいると、次はピラミッドの左へ! 緩い白い坂道を登れば、頂上台地に出る

左手に頂上小屋とポールが次第に顔を出す・・・正面が山頂

白い台地に真新しいトレースを少し刻むとそこが山頂、
思わず笑みがこぼれます・・・・お疲れ様です!






 天空は雲はまったくなく、ピーカン!南壁の一の沢、二の沢、三の沢を分ける急峻な尾根が今日はくっきり見えるし、真っ白な台地の彼方には弓ヶ浜の海岸線まで一望できる。
 明るい太陽のもと、そよかぜ程度の風だからまるで春山のような陽気だ。

 久しぶりにのんびり休憩する。

 11:45下山にかかる・・・・スピードアップの為アイゼンをはく。下山は、夏道経由で下山に出て車道経由で駐車場に帰ることにする。横手道は、積雪があるうえ結構登り下りがあるのでかえって時間がかかる。
 
 今日は、好天に恵まれ登山者が多い。台地は、赤旗付きポールが適度の間隔で立てられており、多少ガスっても問題なさそうだ。

 本格的な下りにはいるとステップは踏み崩されており下りは楽だが、登りはいやらしそうだ。
 通常今ごろだったら埋もれていることの多い6合目小屋は、今日はしっかり顔を出している・・・・やはり雪が少ない。

 淡々と、単調な下りが続く・・・1時間足らずで阿弥陀堂近くにでるが、丁度お昼時、お腹もすいてきたので久しぶりに『大山そば定食』を食いにいく・・・・・すっかり満足して車道をテクテク歩き桝水高原スキー場駐車場に到着したのは、14:35でした。今日は、予想外の好天に恵まれ愉しい1日を過ごすことが出来ました・・・参加者の皆さん、お疲れ様でした。

【Reported by Y.Kubo  Photo presented by A.Sakane, M.Katsuno & K.Akazawa】