西中国山地:犬戻峡(錦川水系) 2007.08.25


■今夏は暑苦しい日が続く。皆さん、体力維持のため暑い夏でも時たまボッカされているようであるが・・・・朝の比較的涼しい?時間以外は地獄、毎週出かける気にはならない。そんなときは、涼しい沢に行きましょう!

 今日は業務の都合もあり夕方までに帰着せねばならない。そのようなわけで、近場、初見、下山が楽、綺麗、初〜中級、所要時間:下山入れて6時間以内の条件に合う沢登・・・・あちこち考えた結果、『寂地山:犬戻峡』を選ぶ。

 きわめてポピュラーな沢で、沢登講習会などよく開かれている所である。峡谷に沿う犬戻し林道は、冬や秋に通行したことはあるが、犬戻峡は足を踏み入れていなかった・・・

 いずれ行く計画になっていたので、いいタイミングである。メンバーは暑さに弱そうな4人です。


参加者:
  新谷C、新谷T、赤澤、久保、以上4名

コースタイム

 寂地峡駐車場(08:20)〜ゴルジュ入口:休憩舎下(10:00)〜F8(11:00)〜犬戻しの滝(11:15)〜二俣:終了(11:45)〜林道(11:55)〜駐車場(13:00)


   犬戻峡の目玉は、文字通り”犬戻の滝”!



 天候は晴れ・・・今日も暑くなりそうだ。寂地峡駐車場で支度し、8:20出発。すぐ奥にあるキャンプ場を通るが、ここは最近再整備されたらしく、全てが新しい! バンガローも出来ている。寂地峡入口あたりで入渓する。取り付きは開けて気持ちいい河原である。すぐに堰堤がある。これを越えると雰囲気のいい沢に戻る。少し行くと滑風の斜滝に出会う。水流の右から楽に越えられる。

五竜の滝(寂地峡)を左に見て入渓。すぐに堰堤がある
堰堤kを越えるとしばらくでF1(5m)、右から越える

 斜滝を越えると、綺麗なナメ床となる。流れる水も澄んでいて実に気持ちよく歩けるところである。やがて平凡な河原になるが、しばらくして規模は小さいが淵やら小滝、ナメ滝、等が適当に現れ、遊びながら遡行する。いずれも難しいところはなく・・・・積極的に水と遊ぶのりで行けばなかなか愉しい。

 やがて、2つ目の堰堤。堰堤は興ざめしないでもないが、あまり気にしないことだ。堰堤を越えたところでのんびり休憩する。腰を上げナメを行けばすぐに又もや堰堤!・・・・気にしないで行きましょう。


F1を越えるとナメ、淵、小滝、等適当に現れ積極的に遊びながら行くと結構面白い!

堰堤の上でのんびり休憩・・・腰を上げるとまたまた堰堤!

 堰堤を越すと平凡なゴーロ帯になるが、そのうち前半部と同様なナメ、小滝などが出てくる。大きな釜のある斜滝(F5?)は、水中のスタンスを拾いへつって水流右を登る。泳いでもいいが、へつりの方がオモシロイ。水につかると浮力のため少し体が軽くなり細かいスタンスにも乗れる・・・・・少しばかりうまくなったような気分になります!
 大岩の堰堤を越えると綺麗なナメ滝があり、木漏れ日も差し気持ちいいところなので全員で記念撮影!

堰堤を越えゴーロ帯を過ぎれば、小滝やナメが出てくる
釜のあるF5は、腰まで使って右からへつり水流の右を登る
木漏れ日の差すナメ滝で記念撮影

 左岸を通っている林道がヘヤピンカーブでUターンしている所に東屋(休憩舎)が有り、その下辺りからゴルジュが始まる。下流から遡行してくると右上にこの東屋を見てゴルジュにはいることになる。緑青色の深そうな淵は左からへつっていくが最後が少し気を遣う。
 続いて右の岩棚を行くが奥に滝(F6)が懸かる。続く淵は右手から腰までつかりへつるが滝(F7)まで行けそうにないので途中から岩棚にあがる。巻いてV字に狭まった谷に下りると目の前に立派な釜を持つ直瀑(F8:10m)が現れる。見事な滝で、ここまで滝らしい滝が無かったので、しばし見とれてしまう。

 右の岸壁が易しそうである。ザイル出して取り付くと、ボルトがあり立木からもビレイが取れる。しっかりしたスタンス、ホールドがあり快適なクライミングで越える。やはり登れるっていうのはいいですねえ!

左からへつるが、最後の所が少し気を遣う・・・まあ落ちても怪我はしませんが・・・
【写真左上】:見上げると東屋 【写真左下】:奥の滝がF6。右岩棚から巻く
【写真右】右からへつり途中から岩棚にあがる。滝はF7
V字谷を行くと釜のあるF8。右岸壁から快適なクライミングで越える

 F8を越えると大きな円形の釜を持つ2段の滝:F9である。周囲を壁に囲まれてた開放的な空間の真ん中にある円形プールのようである。遊歩道がグルリと巻いているので丸見えだが全く気にならない。

 左手から水流に近づくと、リングボルトがある。多分、水流の左側を直上するためのボルトだろう。ザイル出して取り付くがホールドのかかりがちょっと不安。まあ無理すること無かろう、とあきらめ左へ少し移動、易しいところを直上する。ここも全員快適に通過。落ち口に出て一休み。

大きく明るく開けた2段のF9。ここも快適クライミングで通過

 一休みして後、犬戻峡の主役F10:3段の滝へ向かう。この辺りから赤っぽいナメ床になる。右手から遊歩道が近づく。すこし行けば緑濃い樹林帯を切り開く岸壁の間を岩の樋でもって白い流れを落とす3段の滝が全容を現す。降り注ぐ日差しに明るく浮き出た白い岩と周りの緑のコントラストが際立つ。奥に3段目の直瀑も見える。スケールが大きく華やかな滝である。

 正面の階段状の流れの右側から取り付く。特に問題なく1段目の上部に出る。更に進めば、勢いよく釜に水流を落とす直瀑。左岸に渡り釜を真下に見ながら右側壁を登って越えと落ち口である。右手にはすぐ近くに遊歩道があり、F10終了したら遊歩道にすぐ出られるが・・・。


すこし赤っぽいナメ床を行く。左岸には遊歩道が迫る
遊歩道から見えるF10:3段の滝(犬戻の滝)
階段状の滝、水流の右側を登り、3段目は真下に釜を見ながら右手側壁を登る

 F6から始まってF10で終わる核心部を越えると谷は静かになる。赤っぽい色のナメが続くようになる。ここまで滝に目を奪われていたが滝からナメに変わり気がつけば周囲の樹林はすっかり緑濃い自然林、ゆったり流れる谷と良く調和した風景が続く。こういうところは急がないで、谷歩きを味わいましょう!

 樹木は高いが天空が望まれ谷自体も結構広いのでうっとうしさは全く感じられない・・・・気分良く進めば、またもや堰堤が現れる。入渓して4つ目の堰堤を越えると、今まで赤っぽかった岩床は色が変わり黒緑がかった色に変わる・・・・赤色もいいが、無彩色と緑色の混じる岩と樹林もまた良くにあう・・・・・

3段の滝(犬戻の滝)を越えると河床は赤っぽい色に! 美しいナメが続く
この辺り、周囲の樹林帯と谷が良く調和して気分和む谷歩きが愉しめる
4つ目の堰堤を越えると岩の色が変化する。黒/灰色の無彩色の岩肌に緑色がピッタリあう

 犬戻の滝から30分ほど谷歩きを愉しんだら左岸から支谷が出合う。犬戻峡のお勧めスポットは十分味わったので、ここらで終了とする。時刻は、11:45だからこの支谷から林道経由で下山すれば、13時過ぎには駐車場に帰れそうだ。

 本谷から右折、支谷にはいる。数分行くと正面に林道の橋が見える。林度に這い上がり装備を解いて下山にかかる。途中、遊歩道にはいると先程の一連の滝群の横を通るが、遊歩道からは全貌はわからない。F9が見えるところで、F8からあがってきた登山者が後続を確保しているのが見える。休憩舎に出ると車2台駐車していた。
 
 先の登山者は、ここから取り付いたのかもしれない・・・・時間がない場合、ここを起点にすれば核心部だけ短時間で愉しめるわけだ。しかし滝群の下流も上流もなかなか味わいのあるところだと感じた・・・・沢登の愉しみは滝だけではないし時間あれば、全部遡行したいですねえ。もっともっと時間あれば足を伸ばして寂地山頂まで行った方がより充実するのは言うまでもない・・・・と思いつつ足を運べば駐車場着、13時でした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。


支谷にはいり林道に出て終了です
一浴びしたくなるようなF9の円形の釜(遊歩道から)


Reported by Y.Kubo  Photo presented by K.Akazawa