市房山:山之口谷&槇之口〜市房山

 
 右俣35mを高巻きほんたににもどると・・・・・連瀑帯が待っていた!
釜のある滝は気持ちよく直登、大岩に懸かる滝は、面倒なので大岩右手から巻く・・・・更に滝は続く。3〜4連瀑かな? 最初の斜滝は、100%シャワー!頭から浴びると気分は、シャキッ! 続く斜滝は水流沿いに越えれば、次は20mクラスの大滝だ。

 右手水流沿いが登れそうだ。原田、ノーザイルで果敢に取り付く。見た目よりも手がかり十分なようで調子よくあがるが、さすがに中間部過ぎると高さを意識せざるを得ない・・・後続を考慮、ザイルを出し、そのまま水流沿いに抜ける。

 20mの滝を越しても、滝は終わらない。次から次へと登場する。いずれも直登していくが・・・・少々、ウンザリしそうな気分になってきた。勿論、気を抜けば大怪我するのでなおざりな遡行は出来ないが・・・・しばらくのガマンで、またまた35m滝に出る。気分入れ替えるためすこし休憩。ガイドブックでは、中段に残置ピンがあるとのことだが、ここまで遡行してきてこの滝、登る!と意欲湧く岳人?・・・・・やはりいるんだろうね。

 我々は、易しそうな左岸から高巻くが、割と小さく巻くことが出来た。

釜のある滝は直登、大岩に懸かる滝は右手から巻く
3〜4連瀑かな? 釜のある斜滝、100%シャワーで快適!
全員シャワーで越えると又、斜滝 20mは水流右をノーザイルで行くが、途中でザイルを出す
ザイル確保で全員調子よく落口まで達する
20mの滝を越えても、まだまだ滝は続く・・・・いずれも直登していくが
少々ウンザリしそうな気分に・・・
またまた35mもある滝・・・・すこし休憩、腹ごしらえして気分を変えて左岸から高巻く

 
 35mの落ち口近くに出る。上流は斜滝があり水流横の易しい岩場を登る。

【写真右:斜滝から易しい岩場を登る】

 右手から水流のある支谷が出合う。左が本谷のはず・・・・ここで高度計、資料、地形図等で現在地を確認しようとしてみるが・・・・下の二俣は明瞭だが、これくらい細いと正直な所、地形図の拡大版でも解らない。

 支谷を右に見送り支谷より水量の多い本谷に懸かる滝を登れば、今度は左手から水流のある支谷が出合う。左に支谷を見送り、斜滝を越える。右に左に支谷を分ける毎に本谷の水量は減じていき次第に源流くさくなってくる。その分、滝は登りやすくなるが・・・・・めっきり細くなった水流をたどれば申し訳程度に水流がしたたり落ちる岸壁に出る。
 
 これが、くの字50mの滝のようだ。やっと”滝だらけ”の遡行に目鼻が付いた。時刻は、12:55。入渓してからおよそ5時間かかったことになるが、もう1,2時間ゆっくりしてもよかった・・・・勿論、これは結果論です。ゆっくりした時に限って事件は起きますから・・・。

 この滝も途中までは行けそうだが、30m以上あがった上段辺りは傾斜が強うそうだし、途中退却できるかどうかも行ってみなければわからないし・・・・すこしでも悩むときはやはり高巻きで行きましょう。

 左岸に取り付いて高巻けば、割と大巻きせずに20分ほどで丁度落口に出た。

右から支谷、現在地を確認するが・・・・・ 本谷は10mほどの斜滝
10mほどの斜滝を越えると左から支谷が出合う。
めっきり水量が少なくなってきた本谷の斜滝を越えると、”くの字50m”の滝

 
 ”くの字”滝を越えると、滝がらみの遡行は終了。時刻は、まだ13:20だがこのまま進めば明るい内に稜線に出てしまう。水がないが人がいる(可能性がある)稜線で泊まるのはねえ、いかがなものか?

 水流もほんの僅かになったし、泊まるんだったらこの辺りしかない・・・・そういう目で見るとこの落ち口付近、ビバークの適地だ。落ち口上流は二俣になっており、右は水のない涸れ谷、左は僅かだが水流があるルンゼ状の谷だ。今日、5人分3張りのツェルトも十分張れる場所がある・・・・・・協議の結果、本日はここで打ち止め!ということになる。

 まずビールを水流に漬ける・・・・濡れた衣服を乾したり、洗濯したり・・・・・ビールが冷えるまでウイスキーの水割りやら焼酎で本日の反省会を開催・・・・

 谷から吹き上げる爽やかな風が心地いい。落口だから正面は大きく開け、市房山南尾根や林道、米良の里が望める。

 時間たっぷりだから、風に吹かれて呆然と山並みをながめるもの・・・・・チビリチビリだらしなく飲むもの・・・・ささやかな水流で行水!するもの・・・・まあ誰にも迷惑はかけないからいいですが。

 適当に時間を過ごせばビールが飲み頃、あらためて乾杯し、続けてダラダラと過ごす。4時過ぎから夕食・・・・済ましたらタキビにかかる・・・このように早めにビバークに着いても決して退屈なんぞしません。

谷泊の一通りの行事をそつなく済ませて、寝床をつくれば本日は終了です。また明日、頑張りましょう!

本日の寝床:左俣の岩棚、二俣出合、右俣河原に設営。一応、セルフビレイをとって就寝する

 
 5時過ぎ起床。天候は曇りのようだが雨の心配はなさそうだ。昨夜は、岩棚に張ったツェルトは吹き降ろしの風に吹きあおられたが、他の2張はなんともなかったとのことだ。軽く朝食を済ませ、ツェルト撤収、6:50出発する。

 二俣のどちらでも稜線まで問題なく出られるだろうが、僅かな水流のある左の谷に入ることにする。あとすこしで水流は消え入りそうなので水を補給する。すこし登れば正面に急峻なルンゼを分けて谷は右に折れる。水流わずかの滝をフリーで登れば傾斜が緩む。ほとんど水のないゴーロの涸れ谷を落石、浮石に注意して詰めると易しい岸壁、越えると又、ゴーロの急な谷になる。

 ビバーク地点から30分ほど行った所で靴を履き替える。

水流のある左の谷に入る。左にルンゼを分けると涸れ滝を登ればゴーロの谷になる
ゴーロの谷だが幾つか涸れ滝があり滑らぬよう注意して越えていく
易しい岸壁を越せば平凡な谷、適当なところで靴を履き替える

 
 あと200m足らずで稜線に出る、もう滝はなさそうだ・・・・と思いながら行けば、原田、目敏く右に踏み跡発見。登山道まがいの立派な歩道!ヘーッ、ホントかいな?・・・・まあ、騙されてみますか、ということで右折する。僅かで尾根に出るが、案の定、立派な踏み跡はそこまででした。谷に戻るのも面倒なのでそのまま尾根を詰めることにする。

 よく見れば、薄い踏み跡があるのでそれを伝う。進むほどにいくつもの踏み跡が現れては消え、あるいは別の踏み跡と交錯して来るが、適当に伝っていけば右折して35分で稜線の登山道に出た。標高1650m位の稜線である。スズ竹の倒れた箇所の通過に骨折ったが、あとはスムーズな藪こぎであった。

 右折して山頂へ向かう、とすぐに話し声・・・・もしや嵐の面々では?・・・・・予想通り!2分ほどでテント撤収中の嵐ボッカ組に無事合流!ほぼ約束の時間である。

 彼女らは、平坦な草地に設営していたようで、快適な一夜を過ごしたとのこと。しかし、昨日午後はガスがかかり、二ツ岩の近くまで行ったが引き返したとのこと、又、昨夜は小雨模様で、沢は寒いのではないかと案じていた、とのこと・・・・優しいねえ、まあ酒飲みながら案じていたんでしょうが、ありがとう御座います。

 ザックをデポし山頂を往復する。登り10分弱で山頂着。記念撮影して戻り、一緒に槇之口堰堤に下山することとする。


おはよう!お疲れ様です。8:05、無事、合流です

 下山開始は、08:38。登山道は登山者が少ないわりには割と整備されている。7合目までは、庭園のような緩やかな尾根を下る。7合目小屋で休憩した後、作業道に絡んだ登山道を行くが、一部作業道も通る。6合目辺りから尾根筋をはずれ東側の尾根にはいる。

 5合目の水場を過ぎると登山道は開かれた広場に出るが、ここには立派な車道があがってきている。普通乗用車が駐車しているのでよく整備されているのだろう。

 広場からすこし車道を南に行くと登山道は山腹を絡むようにつけられており、尾根に沿って下降すると再び大きく回り込んできた先程の車道に出る。
この車道から抜けるとあとはただただ尾根を下降するのみである。3合目、2合目と下るが、槇之口堰堤と舗装された車道が見えてからが、この登山道の核心部!・・・と女性軍が言っていたが、まさしくその通りでススキや茅の生い茂る植林帯で踏み跡が急に怪しくなる。

 先行した4名は、植林帯の右手から槇之口谷に下りてしまったが、登山道?は植林帯の中にあるとのことだ・・・・・11:10〜11:30に全員、堰堤横駐車場に到着した。参加者の皆さん、お疲れさまでした。

庭園のような緩やかな尾根を下る






七合目小屋。ここが作業道の終点
作業道を絡んで下山すれば、立派な車道(林道)に出る
ここから出発すれば、標高差は700mしかなくラクチン!
山腹を削ってうねる林道 写真上:登山口の槇之口堰堤
写真下:温泉は、”カリコポーズの湯  

Reported by Y. Kubo
Photo presented by S. Okamura & K. Akazawa



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