伯耆大山:三ノ沢〜右俣尾根右(仮称) 2008.01.14


 本年初めての大山である。天候はよくなさそう・・・だが出かける。大山の冬はよくないのが普通だ。ためらっていたら1回も登らせてもらえないかもしれない。参加者を募った所、3名参集。追加募集で5名に、更に大山大好きな友人を誘って6名、それと仕事の都合で遅くなった2名と奥大山スキー場で合流、計8名となった。

 目的地:前から気になっていた三ノ沢左岸の尾根で槍尾根に突き上げる右俣尾根右(仮称)とする。前回は、大堰堤のすぐ右から右俣尾根左に取り付き槍尾根に抜けた。その時、右手に見えた尾根が右俣尾根右で、沢を挟んで同じように延びあがり、最後は急角度で槍尾根鉄柱に突上げているようだった・・・・上部がどんな状態か不明だが、チャンスあれば!と思っていた尾根である・・・・


日程
01/13:
北九州(13:30)〜中国道〜R9〜奥大山スキー場(20:30)
01/14:
スキー場(07:10)〜三ノ沢取付(08:50/09:10)〜右俣尾根支稜取付(09:40)〜稜線(10:30)〜1400mピーク(12:00/12:15)〜環状道路・三ノ沢取付隣(13:30)〜スキー場(14:30)


参加者
三栗、坂根※、西方、桑野※、伊津見、勝野※、赤澤、久保、以上8名 (※:さんらく会会員)





 13日午後移動するが、さすがに昼間の移動には時間がかかる。高速代節約のため9号線を走る。およそ7時間後の20時半ごろ雪の奥大山スキー場に到着。無料の駐車場はガラガラ、快適なトイレの脇に駐車、テント設営、お決まりの小宴会に入る・・・今日は、おでん鍋の御馳走!があり盛り上がる・・・・遅れてきた二人は、先発組みが寝静まった夜半に到着したようだ。


 14日、曇天。少し遅め7時過ぎ出発する。仕事に取り掛かった除雪車がせわしく動き回るなか少し遅めの7時過ぎ出発する。
 夜半到着の2人は車で仮眠とっていたが元気な顔をみせた。
 総勢8名、これぐらいそろうとラッセルが非常に楽になる!

 環状道路を行くと車両進入禁止のゲートがある。ゲートの向こうも除雪はしてあるが、脛が埋まる程度だ。かすかにトレースが残っている。
 
 両サイドの樹林に真新しい純白の雪がつき、久しぶりの?雪景色が、気持ちをリフレッシュさせる。

 緩い傾斜の雪道をいくが、少しずつ雪が深くなる。
 適当な所でワカンをはく。新雪のためサラサラで、たいした効果はなさそうだが・・・・沈む深さが幾分違うようだ。

新雪でほどよく飾られた雪道を行く・・・・深くなり始めた頃、ワカンを履く


 鳥越峠への登山口(健康の森入口)を過ぎ、大きく左へカーブすると鍵掛峠は近い。緩い坂道から振り返ると烏ヶ山が望めるところであるが、今日はガスの中である。やがて駐車場のある鍵掛峠に出る。
 ここから大山南壁の全貌を望めるのだが・・・・・残念ながら今日の南壁はガスにカムフラージュされモノトーンの墨絵のようである。稜線はガスに覆われ定かでない。三ノ沢の上部も望まれ、手前に今日の目標であるブッシュの右俣尾根が見える。この尾根の上部もガスの中である・・・ここで一息入れる。

【上:鍵掛峠からの南壁】、【下左:峠へ向かう】、【下右:峠駐車場から南壁を望む】


 三ノ沢取付までもう少し行かねばならない。
 少し下りるが直ぐ上りになる。だいぶここらあたりから雪も深くなり結構疲れる・・・・・いくつかのカーブをこえると右に文殊越への登山口の標識。これを見送り少し坂を上れば三ノ沢である。思ったより雪が深かったためかスキー場から、1時間40分もかかった。

 三ノ沢方面、トレース無し・・・・よかったですねえ。ここまで来てトレースを追いかけるのは楽しさ半減ですから。小休止の後、右折し三ノ沢へ向かう。

7−8回右に左にカーブを曲がればやがて三ノ沢取付(標高:970m)に出る


 三ノ沢には多くの堰堤が設けられている。最上部に大堰堤があり、直ぐ右手に右俣尾根(左)の取り付がある。今日取り付く尾根は、三ノ沢に入ると右手からジワリと立ち上がる尾根である。下部は尾根の形態をなしていないが、次第に尾根筋がはっきりしてくる。左岸から右岸、そして左岸と、真綿のような真っ白な雪面に足跡刻むこと30分進むと、正面奥に大堰堤が見えてくる。
 
 右手尾根がそれらしくなってきた。そろそろ取り付いたほうが良さそうだ。小休止して右折、ブッシュの少ない支尾根に取り付く。

【写真左:支尾根に取り付く前に小休止】、【写真右:ステップの決まりそうな支尾根に取り付く】、
【写真左下:トップは交代で!】


 50分のトップ交代のラッセルで稜線に出る。尾根はブッシュが多めだが、藪漕ぎというほどではない。ワカンは履いたまま尾根を詰めていくと、次第に傾斜が増し、痩せ尾根に変わり、おまけにブッシュが多くなる。切れ込んだ箇所も出てきるので注意が必要だ。ブッシュが多いとはいえスリップしたり踏み外したらかなり流されるし、大木に衝突したら大変なことになる。

 8名和気あいあい、トップを交代しながら進む。50分程進んで尾根が右手に少し向きをかえると、左手が急崖になったところに出た。正面には谷を挟んで少し霞んだ右俣尾根(左)が見えるようになった。見上げるでもなく、見下ろすでもないから標高が丁度同じくらいだろう・・・・覚えのある崖が見える。向かいの尾根もブッシュが多かったが、こちらの尾根はもっと多い、と思う。

ブッシュの多い尾根は次第に痩せ、藪漕ぎになると左手が急崖になり、対面に右俣尾根が見えるようになる

右俣尾根(左)。取り付きは大堰堤の右・・・・この尾根よりブッシュは希薄


 急崖のコブを右から巻いてやせ尾根に戻り、直ぐの狭いコルでワカンからアイゼンに替える。ブッシュが多くワカンでは歩きづらいし、ブッシュに乗ってスリップしたら目の前の谷に流される。雪が多いので怪我はしないだろうが、サラサラ雪を巻き込んでなだれる危険だってある・・・・気を抜かないでネ。

 尾根は少し開けた感じで明るくなってきた。尾根上の藪を避け左手から巻くように進むが、また尾根に戻り藪をこぐ。
 
 低くなったブッシュを右に左に掻き分けながら進めば正面奥にピークが見えてくる・・・・・あそこまで行けば上部の様子がつかめそうだ・・・・皆さ〜ん、あのピークまで登りましょう!

 少しブッシュが薄くなり雪壁に変わると正面にコブ状のブッシュが現れる。見ると鉢巻状に赤テープが2mほど巻きつけられている。はて、これはどういう意味だろう?

 こんな藪で覆われた尾根、夏に登る登山者はいないだろうから、冬季登山者のビレーに使ったテープの忘れ物?・・・しかしビレーするような所ではない。じゃ、登山者へのメッセージ?何を言いたいのか?・・・・真っ先に思いつくこと、これより先は危険ですよ! ここらでおやめなさい?・・・・

アイゼンにチェンジ、足許を固めて標高:1400mのピークに出る
・・・・・・そこには、ここでストップ!と言わんばかりの赤テープ!


 まあ、考えても仕方ない話なので、もう少し先のピークまで登る・・・・そこはブッシュ尾根の終端でピークから先はブッシュは見当たらない。尾根は、数mほど下り、白い雪稜となって槍尾根に延びあがっていっている。

 左手に展開する尾根は、ほぼ同じ高度であるが、直線的に槍尾根鉄柱に延びているのに、こちらの尾根は緩い円弧を描いて最後が急角度で鉄柱に突上げている。
 
 従い、上部はこちらの尾根のほうが急傾斜である。上部がガスで判然としないが、コブ状岩稜がありそうだ。その上部(最上部)がガスで見えない。
 無雪期から想像するに丘状の鉄柱周辺から下る尾根は、傾斜が緩やかな最上部は安定しているが、傾斜が急になる地点で、崩れ落ち崖になっているのではなかろうか?(天狗ヶ峰〜剣ヶ峰の間の南壁のように、急傾斜のガレ)・・・・あれやこれや考えるが、見えないことには断定できない。しかし岩稜部分は巻き雪壁を、上部ブッシュも巻いて雪壁を登ればいけるかもしれない・・・・

先程の赤テープは、やはりこの先危険!というメッセージかもしれない。それにしても人のことは言えないが、こんなヤブ尾根、よく登るねえ。

 いずれにしてもしまりの無い多量の雪、上部の岩稜、急雪壁、最上部不明、等を考慮すれば、今日はこのピークを終了点とすべきであると判断!・・・・・皆さ〜ん、今日はここでオシマイとします!


出発してからおよそ5時間かかった。下山は2〜3時間はかかりそうだ。1日コースとしてはほどよいタイムである。15分ほど休憩し下山にかかる。


標高:1400mのピークへ 槍尾根に突上げる尾根
というよりリッジ
隣の右俣尾根(左)
キリン峠を望む 奥大山スキー場(写真中央部の白い斜面)方面を望む


 この1400mのピークから南に派生する尾根を忠実に下れば、文殊越に出る。文殊越から健康の森方面に下山すれば早く帰れそうだ!・・・・ブッシュの多い尾根を下り始める。雪が深いが、下りは、ある程度雪のあるほうが楽である。尾根から外れないように下降し始めたが、どうも沢筋のほうが下り易そうなので、尾根から沢に転進、傾斜に任せて泳ぐようにしてぐんぐん下る。

 当初は、傾斜があり、楽勝!だが、傾斜が緩くなってくるとそう楽ではない。時たま深みに足を取られたり、雪中の倒木に躓いたり・・・・トップを交代しながら下ること1時間と少しで環状道路に出た。今朝の取り付きの直ぐ隣である。幸い、朝の我々のトレースは残っていた。淡々と下っていけば、今日はじめて人に会う・・・・やはり東面は登山者が少ない。しかし、訪れる人が少ないから自分たちだけの雪山を楽しめるチャンスが多くなるわけだから感謝せねばならないよね。

 2時半、何事もなくスキー客でにぎわう駐車場に到着・・・・皆さん、疲れ様でした。またきましょうね。


車道に出る・・結構疲れたねえ もう、オシマイ!と言いたげに
グレーの幕が引かれる

今朝、自らつけたトレールを辿って下山する・・・また来るね!


帰る段になってようやく全容を見せた大山。剣ヶ峰〜天狗ヶ峰〜槍尾根、そして本日の登行ルートがよくわかる

   温泉と食事 

”ふるさと”でおなかを満たし、”神郷温泉”で汗を流しました

Reported by Y.Kubo  
Photo presented by M.Katsuno, A. Sakane & K.Akazawa