伯耆大山:三ノ沢〜右俣尾根右(仮称) 2008.01.14


 初冠雪の剱岳は見応えありますよ!岩と雪のコントラストが美しく,、素晴らしい!・・・と先輩に聞いたことがある。機会あれば!と思っていたが、行こう、と思わねばいつになってもいけない・・・・チャンスはつくらねば、待ってても向こうからやって来ない!

 昨年は、富士山と赤石岳だったが、今年は思い立って剱・立山に出かけることになった。希望者を募った所、剱岳は3名、立山は、6名の計:9名となった。車2台では不経済なので、10人乗りレンタカーとする。

 雪の剱・立山への登行は、天候が鍵を握る!・・・・・前日まで雨模様だったが、1日は馬場島到着頃から雨があがり、お昼過ぎにはすっかり晴れになる。2日は午後から風が強くなり、ガスが出てきたが降雪には至らず!・・・・概ね天候に恵まれた,が、登行のほうは計画通りには行かなかった・・・・早月尾根Gも雷鳥沢Gも!

行程

■早月尾根G:
 11/01
   馬場島(06:30)〜1000m(07:20)〜1200m(08:10)〜1400m(08:50)〜1600m(09:20)〜1800m(10:00)〜早月小屋前台地(12:30/40)〜小屋着(12:45)

 11/02 小屋(06:30)〜早月尾根〜標高:2900m(12:20/30)〜小屋着(15:00)
 11/03 小屋(06:00)〜馬場島(08:30)
■雷鳥沢G:
 11/01
室堂(07:10)〜雷鳥沢(10:30)
 11/02 雷鳥沢(08:00)〜散策〜雷鳥沢(09:30/10/30)〜室堂(12:20)

参加者
■早月尾根G:
高木、赤澤、久保、以上3名  ■雷鳥沢G:鉄井、三栗、西方、栗原、新谷C、林、以上6名



 馬場島〜早月尾根〜2900m(中退)


 11/01 ナビに誘導されて、まだ薄暗い小雨模様の馬場島(標高:750m)に到着したのは、06:00。早月尾根組みの3人下車、車は立山町に向かってすぐ出発する。馬場島山荘の軒先を借りて出発の準備をしていたら、どうやら小雨が止んできた。

 馬場島付近は、紅葉の盛りである。早朝でしかも雨雲の垂れ込めた曇天なので、派手な色彩ではないが、しっとりとした色合いは中秋から晩秋の気配を感ずる。支度して、06:30出発する。今日は、標高、およそ2200mの早月小屋までの予定である。標高差は1500m、時間当たり250mとして実働6時間、休憩入れて7時間といったところだろう。

早月尾根は、過去2回下降(1989年GWと2003年GW)した事はあるが、登るのは2回目である。16年前(1992年)の正月、岡村S、久保の2名で取り付き、4日目に剱岳ピークを踏んで以来である・・・あれやこれや思い出しながらゆっくりした歩調でスタート!今日は、小屋までだからあせることは無い。

まだ明けやらぬ馬場島に到着。雨にしっとり濡れた紅葉をめでながら06:30出発する


 取り付いてすぐ15分ほどの急登、それから傾斜が緩みダラダラ登れば平坦になる。出発して40分ほどで標高:1000mの標識のあるベンチに出る。ここで小休止。この標高を示す示してくれる立派な標識は200m毎に設置してある・・・・登行ペースのチェックによさそうだが、そのうち雪に埋もれてしまうだろう。

 この辺りの平坦地が松尾平と呼ばれる所である。ここを過ぎると2200mの早月小屋まで登り一辺倒でノンビリできるところは無い。

紅葉を愛でながら、ノンビリ登ればいつの間にか1400mを通過。意外と早い!あとわずか800m・・・

ガスが去り姿を現した、新雪に輝く赤谷尾根、赤谷山から剱岳につづく北方稜線

 標高:1800m辺りから新雪が出てきた。登るほどに雪は深くなる。単独の方が先行されているのでルートは明確だが、新雪の夏道は歩きにくい。時間たつほどにペースが落ちてくる。足取り軽く感じるのはせいぜい3ピッチまでだ。

 登るほどに展望は開けてくる。
左手には、毛勝三山、赤谷尾根〜北方稜線に引き続き、三ノ窓にのびる小窓尾根が、さらに池ノ谷から鋭く立ち上がる剣尾根がスケールの大きい険しい姿を現してくる。右手には、大きく伸びやかに富山平野に張り出した立山から続く奥大日岳〜大日岳の稜線が次第に目線の高さに近づいてくる。

 紅葉の樹林帯と新雪に輝く白い尾根と峰がすっきりしたコントラストで魅せる・・・今の時期ならではのシーンである。感嘆の声が上がっても、きつさが軽減されるわけではない・・・・・黙々と歩くのみ!


奥大日岳〜大日岳方面を望む 北方稜線の山:毛勝三山方面を望む
登るほどに雪は深くなる・・・・標高2000m辺り、覆われていたガスが吹き飛ばされ輝く小窓尾根が全容を現す
新雪に輝く小窓尾根を左に見ながら急坂は続く!


 尾根上方に早月小屋が見える地点まで来た。すぐそこに見えた小屋にたどり着くまでかなり時間がかかったように思う・・・・目的地が視界に入ると気が緩むのかあせるのか、長〜い時間歩いているように感じるのかもしれない。しかも締まらない雪道に余計な力は使わねばならないし・・・
 
 急坂を登り、フィックスザイルをつかんでいけばやがて2224mのピークに出た。今日の目的地:早月小屋は目前である。ピークに立つと遮るものは何もなく北方稜線から剱岳主稜線がフルスクリーンで展開する。

 しばし景色を愉しんで、少し下れば小屋の建つ広場に出る。時刻は、12:45。馬場島から6時間と少しかかった。平均:250m/時だからお年を加味すればまあまあのペース?でしょう。
 
 小屋の西側にテント設営する。少し早いが、喉を潤すことにする。我々に2時間ほど遅れて、ヤングのパーティが到着した。聞くと、K大ワンゲル部とのこと。又、しばらくすると先行していた単独行の方が降りてこられた。少し上まで行ったが時間切れ、今から馬場島まで下山するとのこと。お疲れ様でした!トレースがあって助かりました!

 朝愚図ついていた空はすっかり晴れわたり絶好の登山日和となった。明日もこのままもってくれればいいが・・・・。

目的地が視界に入ると気が緩むのかあせるのか、えらく長く感ずる。しかも締まらない雪道に疲れ倍増!
馬場島を出て6時間とちょっとで、標高2200mの早月小屋に到着。手前のピークは絶好の展望台だ
北方稜線と小窓尾根(手前)
赤谷山、毛勝三山方面を望む 今日のお隣さん!K大ワンゲル部の皆さん
ピークから望む早月尾根上部 お疲れ様です!この一杯で
疲れが飛んでいきます

 
11/02は、5時過ぎに起床、準備にかかる。06:30、我々が出発する時には隣のK大テントには人の気配が無い・・・・すでに先行したようである。
天候は、晴れ!今日は長い1日になりそうなのでこのまま持ってくれればいいがなあ・・・・と念じてK大のトレールを追う。

 特に気を使うことも無くひと登りで2470mのピークに出る。立山方面や毛勝山方面の眺めがいい。雷鳥沢Gはどうしているかな?見通しもよさそうだし、何処か出かけていることだろう・・・・イヤイヤ、そうではなくいい天気だから停滞でノンビリ過ごしているかもしれない。


剱御前〜室堂乗越〜奥大日岳〜大日岳の稜線。乗越の向こうに室堂平が望める

 2470mを過ぎるとブッシュ帯は終わり吹きさらしの稜線になる。尾根筋の岩を巻いたり、痩せたリッジを通過して踏み抜きの無い様慎重に進む。夏道の見え隠れする箇所もあるが、ほぼ雪の下に隠れいくらかルートファインディング必要だ。全体がまだよく締まらない新雪で、しかも積雪量が中途半端なのでブッシュが完全に埋もれていない所が多く、足許が不安定である。特にトラバース箇所はステップが決りにくく気を使う。

 2614mのピークのかかる頃、先行するK大パーティーが上方に小さく見えたが、すぐ視界から消える。ここら辺りから風が強くなり、ガスが行く手にかかってきた。

彼方に後立山の山々が望める標高になる。尾根上部には次第にガスがかかり始める
辺りいちめんにガスがかかり尾根の全容がはっきりしないが、風で消えかかるトレースを追えば岩場にたどり着く


 シシ頭の岩場取付で、先行していたK大学ワンゲル部パーティに追いつく。この時間にここまで来れたのは彼らのラッセルのお陰!・・・ラッセル、有難うございました!夏道は岩場の左手をトラバースするようにつけられている。しっかりした鎖があるはずだが、今は急な雪壁の下だ。新雪のため雪が締まらず、足許が覚束無いので稜線通しのルートをとることにする。

 易しい岩場だが、新雪がつき浮石もありそうなのでザイルを出す。15m少々でピークに出る。ここでピッチをきる。続く痩せた平坦な岩尾根は、大まかな岩のつながりのようで隙間が新雪で埋まっている。踏み抜きが心配なので、そのままスタカットで通過。およそ30mで岩稜の端に出る。残置ピンがあるので、これを利用、10mほど懸垂下降して尾根のコルに着地、振り返ると右手に夏道のSUSの鎖がある。K大パーティは、続いてくる様子が無い・・・どうやら中退したようだ。
 
 次の岩塔、ここも巻き道があるはずだが、わかりにくい。この岩塔も直登して越える。岩塔からの下降ルートを間違い少し手間取る。ガスさえなければ問題ない箇所なのだが、先が見えないと時間がかかる!

 いよいよ頂上直下の岸壁下のコルに出た。頂稜に抜けるルートはたしか右のルンゼのはずだが、上部がガスに覆われはっきりしない。ルンゼではなく正面の岸壁、直登?できるのだろう残置ピンがある。時刻は、12時半近い。うまく抜ければ、ここから頂上往復2時間?更に、3時間弱で早月小屋・・・小屋着17時半ごろになりそうだ。一番心配なのは、ザイル30mしか持参していないことである。行き詰ったら進退窮まる場面になるかも知れぬ・・・・あれやこれや考え今日のところはここで中退することにする。

 すこし初冬の早月尾根に対する姿勢が甘かったようだ。熟知したルート、というわけではないのだからトレース無いことを考慮すれば50m+ハンマー、ハーケン位は必要だろう。

シシ岩を越えて稜線直下の岸壁取付まで行くが・・・・・あれやこれや考えた結果、今日は中退とする

 下降も2つのピークを登り返し懸垂下降で越える。岩場の取り付きに着いた時、ガスが取れ、いきなり早月尾根の下部が姿を現す!・・・・・しっかり雪が着いた尾根は、左右を鋭く切り落とした凹凸を配した美しい姿を魅せてくれる・・・・思わず、オーッ、と感嘆!今日のハイライトシーンだ。

 登る時はガスに覆われていたせいもあって尾根の姿かたちは、はっきりしなかったが、上から見下ろす尾根は結構くねって起伏が多い。当然、登りより下りが危険だから、踏み抜きやスリップなど、まさか!に備えて安全地帯までアンザイレンして下降する。

早月尾根下降。末端近くに小屋の建つ広場と前のピークが望める

 往路をたどる。途中、岩場でライチョウに遭遇する。数羽の群れをなして餌を求めて散歩しているのか。羽は半分以上白くなり冬姿に変身中である。その群れ、近づけばその分移動するのでなかなかカメラとの距離が詰まらないが、なんとかかわいらしい姿をカメラにおさめて下降を続ける。




 トラバースが終わった所でアンザイレン解除する。下ること2時間半で小屋まで戻ってきた。丁度、15時である。K大パーティはすでに帰幕しており、ミーティングの最中であった。
 
 今日の行動時間は、9時間足らずだったが神経を使うところが多く結構疲れた。
 こういう時は、冷たい飲み物に限るが・・・・・・昨日飲みつくしており何も無い。昨夜・・・うまくいけば、今日中に山頂往復して、夕方までに馬場島へ下山。馬場島は小屋もある、というかビールが手に入る下界!・・・・ともくろんでいたが見事はずされた。そんなに都合よくいきませんね。いまからテント撤収して下山する元気は無いのでもう1泊することにする。

下山!・・・・途中、岩場でライチョウの見送りを受ける。締まらない雪のトラバースは要注意だ。
およそ2時間半かけて小屋まで帰り着いた。お疲れさまでした!


 11/03 
昨夜、雷鳥沢Gと電話が通じる。聞くと、昨日のうちに下山したとのこと。下山後、ちょいとしたアクシデントがあり馬場島まで車が回せない!という。仕方ないので早めに下山、馬場島からタクシーで立山町まで向かうことにする。

 下るほどに雪が消え、紅葉がさえてくる。一昨日より積雪の標高があがっている。1800m辺りは全く雪が消えていた。2日間好天だったので融けてしまったようだ。この時期は、概ね2000m以上雪があると考えてよさそうだ。

 08:30、馬場島到着。先行していた高木さんがすでにタクシー予約すみ。山荘が空いていたので、取り急ぎ渇いた喉を『スーパードライ』で潤して・・・・いや〜、美味かった!しかもおつまみ付き!・・・・馬場島を後にした。皆さん、お疲れ様でした。

下るほどに新雪の初冬から紅葉の成熟する晩秋に逆戻り・・・・・この時期の山行は、まさしくタイムトリップ!
ひっそりした晩秋の馬場島に戻ってきた・・・・・一息ついたらタクシーで移動、雷鳥沢Gと合流する


 室堂〜雷鳥沢


11月初旬の室堂は雪がたっぷりでした。
雷鳥沢のテント場は雪に埋もれ、誰一人足を踏み入れていませんでした。
ワカンを履き思い思いに好きなところを歩き回り私たちだけの雪の世界を楽しんできました。


11/01:室堂〜雷鳥沢(幕営)
 
 早月尾根組とわかれ、立山町へ移動。ケーブル駅パーキングに駐車。アルペンルートを利用室堂へ向かう。
室堂で、林さんと別れ女性5名となる。単独で登る立山三山の方を振り返ると、ガスが掛かっている。朝早い為か誰も歩いてない様子。気を付けていってらっしゃ〜い。
さて私達は、みくりが池を経て雷鳥沢へ。お天気は無風快晴。とっても気持ちいい。

今日は雷鳥沢泊まりだから・・

ピッケル、アイゼン、ワカン、ストック、テント、そしてビールとつまみ。全て装備を身に着け、荷物だけは凄い。
スキーヤーの嫌そうな顔をよそに、バージンスノーを愉しみました。

立山連峰を仰ぎながら雷鳥沢に向かう!

雷鳥沢で、飲んだり食ったり歩いたりして、雪山を”愉しむ!”

11/02:雷鳥沢から剣御前方面散策。早めに切り上げテント撤収、室堂へ。午後は、称名ノ滝見物。

 立山へ行くつもりで雷鳥沢ヒュッテまで行くが、立山方面はガスっている。ヒュッテのおじさんの言うには、結構凍っているらしい。
一人のアイゼンの調子が悪い為、ワカン着けて剣沢御前の方へ途中まで行く事にした。
そして、明日天候が悪くなる予報という事で、その日の内に下山。

 室堂駅付近、観光客で踏み固められ、カッチカチ!!ここが今日の核心部かっ!と思う程。よくあんなブーツとかで滑らないなぁ。
 
 今年初めての雪山。とっても楽しい散策でした。

11/03:早月尾根Gと合流


雷鳥沢を去る! 輝くミクリガ池が美しい! ミクリさんはカワイイ!


      称名滝、ハンノキ滝を見に行く!       


 称名滝は、350mという日本一の落差を誇る四段構成の滝である。称名滝の右側はハンノキ滝で、水量の多い時期に現れる。
ハンノキ滝の落差は497m(一般には500mとされる)で、落差が350mの称名滝よりも落差が大きい。このため、事実上は日本一の落差の滝なのだが、いつも存在している滝ではないので、日本一の落差の滝として認められないことも多い、とのことです。





Reported by K. Kubo , Y. Tetsui & S. Mikuri
 Photo presented by K. Akazawa, Y. Takaki & C. Shintani