2010年正月山行:黒戸尾根〜甲斐駒ヶ岳〜戸台

 山行期間:2009.12.28-30 


2週間前 正月まであと2週間となった。お天気情報では、14日の週は全国的に冬型気圧配置になり日本海側を中心にかなりな積雪が予想されている。
九州も週末、積雪の情報である。21日の週が持ち直せば、28日の週は、冬型?目的地は南アだから荒れても長くは続かないだろう、と思うが・・・・・

10日前 18日、北九州でも雪がぱらつく・・・・日曜日あたりまで寒気団がいるらしい。
来週、一休みしたら年末寒波かもしれない。年末寒波なければ、鋸岳〜甲斐駒ヶ岳、寒波襲来であれば、黒戸尾根〜甲斐駒ヶ岳、可能ならば鳳凰三山へ縦走。
新雪大雪の時、鋸岳へのアプローチ:角兵衛沢は避けたいし・・・・・

出発 27日、早朝北九州出発。南ア北部直前予報では28日明け方小雨だが、29日、30日は概ね晴天、31日は曇り、以降は冬型になるようだ。2人で登攀具、幕営具まで担いでいくのは少々重過ぎる。鋸岳は、4人くらいメンバーがそろう時にして今回は黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳を目指すことにする・・・・・




参加者 岡村繁雄、久保、以上2名 【写真右:甲斐駒ヶ岳山頂の岡村、久保】

コースタイム 28日:
駐車場(10:00)〜刃渡り(14:20)〜5合目小屋跡幕営(16:00) 

29日:
5合目小屋跡(07:00)〜7合目七丈小屋(08:20-08:40)〜甲斐駒ヶ岳山頂(12:10-12:40)〜駒津峰(13:50-14:00)〜仙水峠(14:55-15:00)〜北沢駒仙小屋幕営地(16:00) 

30日:
幕営地(08:05)〜北沢峠(08:20)〜赤河原分岐(09:45)〜駐車場(12:15-12:25)〜戸台(12:40)


【黒戸尾根〜甲斐駒ヶ岳〜戸台登行ルート概念図】


 27日は、通常の割引のみで、”何処まで行っても最大1000円”の適用外となっている。そのせいもあるのかスムーズに現地入りする。小淵沢IC出たところにあるスーパーで食料調達、竹宇駒ヶ岳神社駐車場へ向かう。駐車車両は6−7台程度で人影は無い。皆さん、既に山中なのだろう。

 4人用テントを設営、少し早目の小宴会にする。予報では明朝短時間の小雨、とのことだが、今のところ晴天でしかも月は満ち満ち煌々と明るい。出来れば早めに降って早くあがってほしいものだ。

【写真左:駐車場にて幕営、快適!】

 28日、6時過ぎ起床。テントの外は濡れていない・・・まだ降っていないようだ。降っていないのならもう少しずれて出発の後にしてもらいたい、ネ・・・・とテント撤収にかかったら・・・・ポツリ!ポツリ!・・・・ちょっと遅くなりましたがやはり予報どおりでした。

 相談の結果、短時間の少雨だからあがるまで待とう、ということにする。車中で転寝しながら過ごすこと2時間、9時過ぎになると雨足は細くなる。
 さ〜て、出かけますか!支度して10時出発。

【写真右:10時出発!】

 駒ヶ岳神社の横を通り、尾白川にかかる吊橋をわたり尾根に取り付く。ジグザグの急登ひと登りで渓谷道との分岐に出る。左にとって落葉に埋もれた登山道をたどる。しばらく行けば尾根を回り込むようになり傾斜が緩む。下草のない落葉樹の樹林帯は爽やかで気持ちが良い。時折晴れ間ものぞく。
 
 やがて本格的な登りになる。登山道は、深い落ち葉の賑やかな溝に入ったり出たりしながらも適当にジグザグにつけられているので非常に歩きやすい。
標高1200m越えたあたりから雪が出てくる。笹ノ平を過ぎると全くの雪道、周囲も次第に積雪が増してくる・・・・どうやら今晩の水の心配はなさそうだ。

駐車場から10分足らずで竹宇駒ヶ岳神社。尾白川を渡り尾根に取り付く
深い落ち葉の賑やかな登山道を行く。歩きやすいジグザグをたどれば次第に積雪が増してくる

 刃渡りに出る頃から北西の風が強くなってきた。周期的に突風状態になる。風が舞うと樹木の積雪が舞いまるで吹雪のようになる・・・気圧の谷の通過?でしょう。刃渡りの岩稜はすっかり積雪で覆われている。アイゼン出すのも面倒なのでそのままでいく・・・・・が、核心部を通過した所でスリップ! おっと岩稜だからもっと注意深く歩かなきゃネ。

 刃渡りを過ぎると次は刀利天狗への急登が待っている。梯子やフィックスロープを伝うが、5合目から7合目ほど険しくは無い。しかしそろそろ行動開始5時間を過ぎているうえに寡雪を想定した水1リットルとビールを追加したのでザックは重くかなりきつ〜い!登りとなる。

 登りきれば5合目まではあと1時間である。黒戸山の尾白渓谷側をトラバースして5合目に出るのだが、これが結構長い。まだか?まだか?とウンザリしながらラッセル交じりの登行1時間ほどでやっと5合目の小屋跡に出た。

 この頃から北西の風はますます強まり台風並みに強烈に吹きまくる。小屋跡にある大岩に隠れるようにテント設営、もぐりこむ・・・・・ヤレヤレ、何とか5合目までたどり着けた。持参したビールで乾杯!

写真右:風を避けるように岩陰に設営

刃渡りの通過 刀利天狗への急登
梯子やフィックスロープが続く
5合目小屋跡
平坦だが風が強い

 吹き荒れた北西の風も22時過ぎから次第に収まってきた。夜半過ぎは昨夜より更に明るい静寂の夜となる。5時ごろ起床、今日は無風快晴のようだ。風のある間は寒さが身にしみたが、テントポールのジョイントは凍っていない。意外と冷え込まなかったようだ。

 7時、モルゲンロートに映える甲斐駒ピークを見ながら出発。今日は遅くなっても仙水峠までは行く予定だ・・・・少なくとも8時間はかかるだろう。

【写真左:屏風小屋跡の2人パーティ。右手のはしごが取付】

 昨日は気づかなかったが、下ったコルでは2人パーティが出発の準備をしていた。ここには屏風小屋があったがいまは無い。コルからすぐ長い梯子の登りとなる。7合目までは樹林帯だが痩せた尾根の左右は切れ落ちておりミスは許されない。

 梯子、鎖、ロープなどが次々登場、重荷でゼイゼイ、ハアハアしながら1時間20分、ひょっこり7合目小屋前に出た・・・朝一番で結構きつかったねえ。


モルゲンロートに染まる甲斐駒ヶ岳。手前が8合目ピーク 今日はこの長い梯子から始まる
5合目から7合目七丈小屋まで梯子、鎖、ロープ、などが盛り沢山!

 小屋前では男女2人が出発準備中。今から甲斐駒ヶ岳ピストン、とのことだ。勿論、先行してもらう事にする。第2小屋横の指定地にテントT張あり。某大学山岳部で昨日山頂までトレースしたとのことである・・・・トレースがあると有難いね。

 第2小屋うえの幕営指定地は開けて展望抜群である・・・・とりわけ緩やかに広がる広大な裾野を従えた八ヶ岳全山が際立つ。

【写真左:七丈小屋(正月は営業)】
【写真右:幕営地にて八ヶ岳を一望する】

 しばらく休んで2人の後を追う。しばらくは急な潅木帯を縫うように登る。見上げると真っ白な雪の向こうに広がる紺碧の空が眩しい!
 
 大岩を左から越せば鉄剣がある。登山道の標識もありこのあたりから方向を南に転じる。ここからはダケカンバの小樹の生える緩やかな雪面だが、雪はしっかり締まっておりスリップすれば間違いなく黄蓮谷まで一直線、あの世行間違いなし!
 
 アイゼンをキシキシ軋ませて8合目を目指す。10:00、抜群の展望が得られる8合目の鳥居跡に到着。
 しばらく解き放たれた広大な展望を愉しむ。行く手の甲斐駒ヶ岳方面は大岩の塊のような巨大な山塊で威圧的!

北八ヶ岳の蓼科山から南八ヶ岳の権現岳まで一望できる。ひときわ高いピークが赤岳
紺碧の空に向かって! 登ってきた黒戸尾根を俯瞰。遠くに八ヶ岳、手前が日向山
手前から7合目、5合目のテンバ、台形状の山塊が黒戸山
アイゼンを軋ませ8合目へ向かう アサヨ峰の向こうにそびえる北岳。奥に間ノ岳もみえる
以前石の鳥居のあったが、今は倒壊 鳳凰三山。背後に富士山がぼんやり見える

鋸岳と北アルプス(乗鞍岳〜槍・穂高連峰〜後立山連峰)を望む


 10分ほど休憩の後、出発。先行している2人が小さく見える。ここから先尾根は痩せ岩稜や急斜面を通過せねばならない。右手を巻くように進めば鎖のある岩場、登ればすぐに右手に張り出した岩を腕力で越える。
 しばらく進めば赤石沢側に回りこんで急な小ルンゼに出る。駒ヶ岳ピークへ一直線で伸び上る赤石沢奥壁が眼前にある。誰も取り付いていない。無雪期は岩の詰まるルンゼだが、今日は雪の詰まったルンゼである。雪が締まっていれば問題ないが、そうでなければ要注意!スリップしたらまっすぐ赤石沢へ吸い込まれてしまう。岩のスタンスを探しながら登る。先行の2人はザイル出していたようだ。更に進んで刀剣の建つ大岩を回り込めば広場に出る。

刀剣の立つ岩塔(写真右奥)までやせた岩稜、鎖場、急なルンゼが続く
中央の”赤”は先行パーティ
岩稜は右から巻く。鎖場を越えて行くと赤石沢側に回り込んで急なルンゼ(写真右)を登る

鳳凰三山を望む。遠くに富士山 摩利支天(写真右)と北岳、間ノ岳
刀剣のある岩塔の広場から上部を望む
こんな所で落ちたら終わり!
黒戸尾根全容が俯瞰できる
祠のある山頂は間近!

 
 広場から尾根は広くなる。急斜面を登っていくと黄蓮谷側の斜面に出る。カリカリの堅雪にアイゼンを軋ませて稜に出れば山頂はすぐそこだ。
 12時10分、山頂の祠に出る。

 少し風がある。さすがに3000m近くのピークである・・・寒い!
 廻りを圧して抜きん出ている甲斐駒山頂は、360°遮るものが無い。

 先行した2人の他に2名、しばらくして更に2名駒津峰からあがってきた。正月山行の人気山岳だがウィークデーの今日はひっそりしている。積雪が少ないだろう、と予想していた早川尾根〜鳳凰三山方面もかなりの積雪のようだ・・・・あちこち眺望を愉しみしばし休憩。

アサヨ峰〜栗沢山の向こうに北岳、間ノ岳、彼方に塩見岳・・・・・右手に仙丈岳を望む
前衛は、鳳凰三山〜早川尾根〜アサヨ峰、栗沢山。遠くに富士山、北岳、間ノ岳は近い


伊那谷を隔てて中央アルプス全山を望む
中ア北部の山(木曽駒ヶ岳、宝剣岳)と御嶽山 鋸岳も岩峰、遠景は乗鞍岳〜穂高連峰


 30分ほど休んで下山にかかる。駒津峰へ向かうが、南面は積雪が少なく風化した花崗岩のザレた箇所が多い。それでも凍結があるのでアイゼンは履いたまま下る。南斜面から駒津峰に下る稜線上に出る。大岩をかわしながらコルへ下る。コルから小ピークへのきつ〜い急登!そしてしばらく尾根伝い、最後にもうひと登りで駒津峰に出る。時刻は14時近い。

【写真右:駒津峰にある、北沢峠へ2時間、の標識】

 すでに出発して7時間、お疲れのいろ濃厚!眼前の栗沢山がやけに高く見える。どうもトレースはなさそうだ。後を追うように下山してきた川崎市の方のいうには、仙丈岳はトレースなしだったので甲斐駒のほうに来たとのこと。北沢峠から双児山経由駒ヶ岳もトレースは無い・・・・・正月休み前だからまだ登山者は少ないのだろう。鳳凰三山に向かうかどうか? これについては仙水峠に着いてから方針を決めることにする・・・・栗沢山へのトレースなければ北沢峠に、あれば仙水峠泊りで明日は栗沢山へ!

駒津峰に向かう冬ルートを下山 駒津峰と仙丈岳
【上】:駒津峰に向かう(六方石付近)
【下】:鋸岳と北アルプス
振り返ればピラミダルな甲斐駒ヶ岳



 駒津峰から仙水峠へ向かう。この下りも長い!・・・・マップから想定するよりはるかに長く感じる。ほぼ1時間かかって仙水峠にでる。正面が栗沢山だが、やはりトレースは無い・・・・従い、今回の鳳凰三山への縦走はギブアップする・・・・西風が峠を吹きぬける。長居無用、少しや休んで北沢峠に向かう。

 緩やかなくだりである。しばらくは右手が岩塊斜面の裾を行くが、すぐ樹林帯に入る。30分ほどで仙水小屋に出る。流しの水を飲む・・・美味いね!しかし多飲はしない。幕営地に行けばビールが手に入るからね。さらに40分ほど下ってやっと北沢駒仙小屋前指定地に出た。この下り1時間も長かった。
 幕営地のしまらない積雪を何とかならしテント設営する。到着時刻は16時だから今日の行動時間、9時間・・・・冬季に、この荷、この体力ではほぼ一杯?でしょう・・・・しかし、やはりビールは美味い!
 食事しながら明日どうするか?検討する。仙丈岳あるいは栗沢山往復するか、あっさり戸台に下山か・・・・・既に主目的の黒戸尾根〜甲斐駒ヶ岳は終わっており、鳳凰三山への縦走はギブアップしたので、特にどこに行かねば!というモチベーションは沸かない。結局、仙丈岳往復ということにして就寝する。

仙水峠からの摩利支天(2820m) 【上】北沢峠に向かい下降
【下】指定地:北沢駒仙小屋に到着


摩利支天(2820m)
甲斐駒ケ岳の南東方にある岩山。南方の仙水峠から真正面に見える。全山が花こう岩で出来ていて、クライミングルートが何本か開かれている。山頂の等高線は2,820メートルまでだが、これより少し高い。山頂には護身や勝利を司る女神・摩利支天がまつられている。石碑やほこら、摩利支天像、鉄剣などが奉納され、所狭しと林立している。一般の登山道はないが、甲斐駒ケ岳の登山道から岩場を下り、鞍部に出ると、山頂に行く踏み跡がある。鞍部までの下りが危険。



 30日、周囲のテントが動き始めた。われわれの起床は6時予定。往復だからそんなに早く出る必要はない・・・・転寝を続けるが、どうも仙丈岳に行きたい!というパトスがわいてこない・・・・・結局、仙丈岳は止めにして下山することに決める。

 朝食を済ませた7時過ぎには皆さん、すでに出払っていた。ゆっくりテント撤収、北沢峠に向かう。静かな峠を越える。太平山荘の前をとおり樹林帯のくだりになる。八丁坂のジグザグを下れば廃屋と化している丹渓山荘の横を通過、河原に出る。河原の様子が記憶と随分変わったなあ、と思う。多分、毎年土石流などが発生し流路が変わるんでしょう。数年前戸台川本谷に来たときのテンバは消失していました。

 朝、戸台の駐車場を出発した年末年始の登山者とすれ違うようになると鋸岳と取り付きである角兵衛沢出合い。立派な標識がある。対岸にもテープがゆれている。

 雪の河原から次第に雪が消え、右岸の渡渉すれば嘗ての車道に出る。この車道もずたずたで河原に下りたり戻ったりしていく。いい加減疲れるころ補導所のある駐車場に出た。30数台駐車している。



 駐車場で小休止。登山補導所の張り紙で、戸台の橋本山荘が通年営業になっていることを知る。そこでタクシーを呼べそうだ。戸台までは10分少々。重荷を担いでもう一踏ん張りして橋本山荘まで出る。ひっそりした橋本山荘でしたが、留守番のたいそう高齢のおばあさんから電話番号聞くことができました・・・・・というわけで戸台〜伊那市〜小淵沢とタクシー、JR、タクシーと乗り継いで駒ヶ岳神社へ車回収に向かいました。
 

 一つトラブル!・・・・車のバッテリーがあがっていました⇒タクシーに協力を依頼、解決。次は温泉⇒茅野方面に向かうと道の駅に温泉あり。心配なので交替で入浴。
どうもゆっくりできそうにないので近くのスタンドでバッテリー新品交換、これで一安心!夕食は松本に出て居酒屋で打ち上げ!その後、駐車場で朝までたっぷり就寝。下山した午後は天候が悪化、平地でもみぞれ〜雪にかわる。多分、山は大荒れ?早く下山してよかった、と思う。

 1000円高速利用のため今日31日夕方まで暇つぶし!しなければなりません。

 小淵沢から八ヶ岳高原道路を伝いなかなか行くチャンスのない清里訪問。清里から赤岳に登り、キレット、権現岳から天女山の周回コースが組めそうだ。美しの森、スキー場をめぐり、佐久甲州街道を下り、もう一度高速に入り甲府へ。ワインの里、勝沼から御坂峠を越えて河口湖・・・残念ながら富士はガスがかかっていました。
 河口湖から上九一色村をとおり本栖湖へ・・・・まだ富士のガスは取れません。まだ時間あるので下って下部温泉で一汗流すことにする・・・・・静かな温泉街でした。

 身延から52号線を南下、清水へ。ここで買出しをして静岡ICから高速に乗った次第です。

 雪山は、ある程度人数そろわないと思い切った山行ができませんね・・・・・おかげで、というのも不本意ですが今年はおせち料理を味わうことができました。
 



Reported by Y.Kubo  
Photo presented by S.Okamura