(続編)剱立山:丸山中央山稜〜富士ノ折立〜源次郎尾根〜剱岳

05/05、今日も快晴の朝を迎える。昨日は、疲れていた上にビールを存分にいただいたのでよく眠れた?と思うが、3日目に入り蓄積疲労は取れそうもない。今日は、源次郎尾根の一本勝負である。尾根自体が3時間と見て、往復で6時間位?できるだけ軽装で出かけることにする。

 登攀具をつけアイゼンを履いて、5時出発。右岸沿いに下降、途中から沢の真中に出る。時たま少しもぐるが快適に下降、平蔵谷出合いを過ぎ、取付に着いたのは5:40.少し休んで取り付く。ルートは、ほぼ夏ルートどおりであるが、残雪期の今は雪のルンゼ登行からはじまる。

 気温が上がると岩が緩み落石の可能性があるので、ルンゼの終了する尾根まで一気に登らねばならない。初めはさほど急ではないが中間から後半は急になり最後は少し緩む。ルンゼが終われば、正面に”一峰平蔵谷側上部フェース”の岩場が一望できる尾根に出る。少し登った岩場で一本立てる。

出発準備、今日もよろしく! ひっそりした剱沢テント場
剱沢へ下降、右岸から沢心へ移動 ルンゼの登行からスタート
中間部〜上部は傾斜がきつくなる ルンゼを抜けたところで一休み

 今日は、昨日より大気がすこしガスっぽいが、僅かに視界が煙る程度で春霞のようだ。目線の彼方に剱沢のテント場が見える。目前のフェースには誰も取り付いていないようだ。
一息入れてスタート。ここからは急雪壁ののぼりが続く。トレースはしっかりついているので踏み崩さぬように歩を進める。傾斜は一旦緩くなるが、又急になる。壁が終わりリッジに変わると一峰は近い。

 右手には八ツ峰の岩峰群が視界にはいる。昨年より残雪は多そうだ。登攀者も多く、5峰の懸垂ポイントでは順番待ち?のようだ。6峰にも人影がある。こちらの源次郎尾根は八ツ峰ほど混んではいない。2人ほど先行しているが、詰まるほど近くないし後に2人ほど追って来るが、まだ距離がある。

 やがて頂稜に出る。平蔵谷と長次郎谷をふりわけるラインの綺麗なすっきりしたエッジを辿ると1峰である。


休憩ポイントから直ぐ急坂の登り
再度、急坂の登りで頂稜へ 一旦傾斜は緩やかになるが・・・背景は別山〜剱沢
頂稜にでると傾斜はゆるむ。右手には長次朗谷をはさんで八ツ峰の鋭鋒が美しい
1峰の頂稜のラインは綺麗だ・・・実際にそれを伝うと剱岳を中心とするパノラマが感動的だ
熊の岩と八ツ峰上部 彼方には剱岳本峰。1峰にて記念撮影

 小休止して1峰からリッジに沿って下降、2峰にかかる。リッジは次第に細く、そして急になるのでコル手前はバックのほうがよさそうだ。2峰の登りは問題なし、ひたすら登ればリッジに出る。2峰の頂稜のほうが1峰より細く高度感がある。

 リッジを辿ると懸垂下降ポイントに出る。支点はしっかりしており、幾重にも巻かれたロープが残置されている。20m強の下降なので、9mm2本セットする。5人下降する間に後続パーティが追いつく。一人1分もたつくと、5分余計にかかるから手早くしなければ迷惑がかかる。
20分ほどで全員終了。ザイルを回収すれば、あとは危険箇所なし・・・・ひたすら剱岳山頂を目指して登るのみである。


1峰/2峰のコルへ下降 2峰の登行。背景は一峰
2峰の雪稜を行く・・・・遮る何物もない眺望が素晴らしい。背景の横切る尾根は真砂尾根
2峰から剱岳本峰を望む 空を切り裂くような鋭い頂稜
2峰から剱岳本峰を望む。先行者のいる中央下部が懸垂下降ポイント
20m程の懸垂下降 懸垂下降が終わればあとは辛抱強く歩くのみ!

 今日は3日目である・・・だから足が重い、一歩一歩引き上げるように進む・・・だから遅い!途中で後続の若い2人に簡単に追い抜かれてしまう。それでも、10:15には山頂に到着した。剱沢テント場出てからおよそ5時間だから、そんなにのろいわけではないだろう。この尾根は取付から山頂までの標高差が、1000m近い・・・オジサンの実力で、4時間はまあいいところだ。

 山頂は結構な賑わい、少し休んで腹ごしらえするが風が冷たいので写真とって早々に引き上げることにする。早月尾根への登路を右に見て雪壁を下る。岩ルートを避け、雪壁を更に下り岩を大きく巻いて右カーブすれば平蔵のコルに出る。ここは風も通らず暖かい。


1峰、2峰はすでに眼下に・・・もう一息で山頂 八ツ峰をバックに山頂直下の登り
本山行の最終目標地、劔岳山頂 劔沢方面を望む
北方稜線を望む。中央の大きな尾根が赤谷尾根
下降ルートを望む。平蔵ノ頭、前劔、
一服劔を越えると劔沢に出る
早月尾根分岐を過ぎ雪壁を下降する
岩場ルートを通らず雪壁を下降、
大きく回り込むと平蔵ノコル
劔岳本峰と平蔵ノコル

 平蔵のコルから剱沢までは危険箇所はない。ただ一服剣、前剣の登下降があるのみである。前剣からの下降は急で長いので疲れた膝にはこたえるが、ここを下ればあとは坦々と歩くのみだ。剣山荘もまだ半分は雪の中である。今年は本当に雪が多い。剱御前の裾を巻くようにトラバースして剱沢テント場に帰るのだが、剱山荘から意外と時間がかかるのである。そして最後にテント場までは少し登らねばならない・・・これがキツ〜イ!

 12:30、テント場着。平蔵のコルから皆さんそれぞれのペースでの帰幕となる。3人そろった所でビールを開ける・・・・・4人になったところでもう1缶、5名全員そろったところで更に1缶!やはり春山はビールです。

 一息ついたら夕方までお昼寝タイムとする。FMを入れたら丁度、『今日は1日弾き語りフォーユー三昧』が流れていた。満たされた気分で、シュラフに体突っ込んで、オジサンとおばさんのおしゃべりと懐かしいオールドタイムの音楽をもうろうとしながら聴くもなかなかいい。19時20分からは、なんとペギー葉山とダークダックス登場!とのこと・・・・・・

 夕方、食事を終え横になり、引き続き同じプログラムを聞いていたがいつの間に寝入ってしまいラジオはオートストップでプッツンになったようである。残念ながらペギー葉山とダークダックスが登場する頃はすっかり寝入っていたようである。


平蔵ノコルから一登り・・・キツイヨ!
劔山荘もまだ半分は埋もれたまま 前劔からの下り・・・250m近く一気に下降する
お疲れさまで〜す。ワルイケド先に飲んでいます・・・喉、ガラガラ?だったらこの一口、格別ですよ!

05/06、 最終日、予報では曇り時々雨だったが、どうやら今日まで持ちそうだ。今日は、室堂まで歩くのみだから少し遅めに起床する。簡単に朝食を取りテント撤収、パッキングして、5:30出発。4日目、当然のことながら足は重いが30分の辛抱で別山乗越にあがる。

 冷え込んでいるので、ここでアイゼンを履く。天候に恵まれたためか乗越から室堂平までは、至る所に人のトレースとスキーとボードのシュプールが刻まれている。ここからは傾斜もそこそこだし、丁度スキー場みたいである。勿論、リフトはないが。


 50分ほどの快適下降で雷鳥沢のテント場に到着。一休みする。実はここから少し登らねばならない。本当に最後の登りである。
我慢の50分で、7:45室堂ターミナルに到着した。皆さん、お疲れ様でした。

 今回は、易しいルートとはいえ丸山中央山稜〜源次郎尾根の継続登攀である。4日間で、標高差およそ3000mの登行となった。天候に恵まれたことが完登出来た最大要因とはいえ、やはり基礎あってのことだろうと思います。今後も精進して次なる目標へむけて頑張りましょう!


別山乗越へ最後の登り、30分
劔沢を去る・・・・また遊びに来ます。さようなら! 室堂平へ向けて下降
広大な雪原:室堂平を俯瞰する 雷鳥沢の幕営地
室堂から仰ぎみる立山連峰。稜線の左端の小ピークが富士ノ折立

■温泉:昨年に引き続き、葛温泉郷の”温宿(おんじゅく)『かじか”。今年も、”いい湯”愉しみました。
(詳細は、2005年山行報告 劔岳:八ツ峰縦走を参照ください)

■お食事:腹ごしらえも昨年同様、信濃大町駅前の食堂”さくら”。 ここは、ラーメンだけでなく野菜炒めも餃子も安くて美味い。なによりお勧めなのは、”そば”!ゆでたそのままの蕎麦湯がついています。大町をお訪ねの時は、是非ご賞味あれ!

葛温泉:温宿(おんじゅく)『かじか』 JR信濃大町駅近くの食堂『さくら』

【Reported by Y.Kubo   Photo presented by K.Akazawa, Y.Atarashi, Y.Takaki & S.Okamura】

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