谷川連峰:湯檜曽川本谷〜朝日岳

 少しガスの立ちこめた朝を迎える。曇りではないようだが上空はすっきりしない。朝食を取りツェルト撤収、支度をする。今日は、本谷を忠実に遡行し、朝日岳(1945.3m)に出る。さらに笠ヶ岳(1852.1m)、白毛門(1720m)を経て土合駐車場(約690m)に下山予定である。朝日岳まで遡行は難しいところはなさそうだが・・・・問題は朝日岳からの下山だろう。

出発は、6時35分。しばらく河原を行く。左に峠の沢を見送れば、前方に白い帯が2本の望まれる。ナメの廊下を詰めていくと一つ目の滝、右から越える。さらに詰めれば2つ目の滝。落下する水流が下部の岩にあたりあたり一面にしぶきを飛ばしている。しぶきを浴びて本格的に目覚める。ここは右の岩棚にあがり草付の中の踏み跡をたどり滝上に出る。

さあ、今日も頑張っていきましょう! 出発するとまもなく前方に滝が顔を見せる
【写真左上】:本日最初の滝は右から、【写真右】開けた廊下を行けば、【写真左下】迫力の10m直瀑
10mの滝は右手のルンゼから越えるが、朝一番のしぶきを浴びて目が覚める

 滝上に出ると昨日の『抱返しの滝』の上流と同じような渓相となる。ナメの河床主体だが、ナメ滝、斜滝、釜のある滝やらが適当な間隔を置いて現れる。早朝のシャワーを浴びながらいずれも快適に越していく。しかし今日は、変化がほしいと思う間もなく谷は急速に穏やかになる。源流はまだまだ先だが、この谷、もうここまでですよ!と思わせるような静かな流れになる・・・しばらくで二俣に出る。

ナメ滝、斜滝、等々朝シャワーのつもりで快適に行くが、谷は急速に静かになりやがて二俣:【写真右】に到着

 二俣につくと、昨日先行された3人パーティが出発の準備中であった。ここから右俣(ゴボウ沢)にはいる。沢はいよいよ源流の雰囲気になる。それでもそんな思いに抵抗するかのように幾つかの小滝やナメ床を用意しているが、それも長くは続かない。ベースがゴーロとなる頃、辺りが開けてくる。

 しばらく行くと上部の二俣、ここまで来ればもう間違いなく源流である。左俣はジャンクションピーク近くに突き上げる。我々は更に細くなった右俣を行く。沢は、次第に細く、狭くなる。幾つかの小滝やルンゼ状の急な滝が現れるが、沢の幅が狭いため通過には全く問題ない。一旦明るく開けていたが、水流が枯れんばかりに細くなると沢は、次第に両岸のササやらブッシュが覆い被さるようになる。

 はて、ガイドブックでは朝日岳の草原に突き上げる、との記載だったがこのヤブ、どうしたことか?まあ、そのうちにこのヤブは退散、いや突然消失!するのかもしれない。ガマン、我慢!しかしこのヤブひどくなる一方である。とうに水は涸れヤブに覆われそうなルンゼをひたすら登るのみである。しかも、少しばかり傾斜が強くなってきた。イヤだなあ・・・と思っていた矢先、左岸のヤブが開け踏み跡らしきものが、ルンゼから脱出している・・・・・コレコレ!、とルンゼ登りから脱出する。

小滝が続くが・・・・もはやこれまで!次第に静かな流れになってくる
両岸のブッシュが低木になると沢が明るく開けてくる・・・このままピークに出るのなら最高だが?
藪のルンゼから早めに脱出すると清水峠方面の稜線が一望の下!


 左岸にあがると清水峠方面の稜線が一望の下・・・やはり明るい方が気分がいい。ここで沢装備を解除、ハイキングの出で立ちになる。丁度、3人パーティが藪のルンゼを直上していく。このまま沢を詰めるようだ。
 すでに標高は1800mを過ぎているはずだから朝日岳山頂まで、100m強と言うところだろう。不明瞭だが踏み跡?もあるではないか・・・気分を入れ替え正面の笹藪に向かって腰を上げる。

 しかし期待した踏み跡はすぐ消失、そのまま笹藪に突入!・・・何のことはない、藪こぎになった。幸いなことに笹藪の背は低くさして労力はいらない。笹藪が終了すると草原になる。草原の緑、蒼い空、そして高山の花が咲く・・・まるで写真で見るアルプスのようである。

 このまま草原かと思ったらそうはうまくいかない。今度は灌木帯、ハイマツ、シャクナゲ、等のブッシュをかき分け進むと今度は山頂につながる草原に出る・・・ルンゼから脱出しておよそ45分の藪こぎで朝日岳の山頂に出た。

 先行した3人とあと2人の登山者がいるだけの静かな山頂は、360度の展望が得られる。振り返ればジャンクションピーク行きの縦走路東に広がる緑豊かな草原と彼処に点在する池塘が旨くデザインされ安らぎを感ずる絵画のようである。


笹藪、草原そして灌木帯、と漕いでいけば山頂に続く草原に出る。蒼い空に草原の緑が映える
左奥がジャンクションピーク、正面は大烏帽子山(1819.6m)池塘を配した草原は美しい!

 下山にかかる。今日の核心部はこの下山である。稜線は、左手から強すぎるほどの風が吹き汗を干してしまうが、稜線の右手に入ると突然無風となり猛暑の餌食となる。曇天であればいくらか日差しは和らぐだろうが、今日は雲は期待できそうにない。昨日は夕立もなかったぐらい安定していたから、今日も多分雨も期待薄である・・・・仕方ないねえ、白毛門から下って樹林帯に入るまでは炎天下歩かねば!

 稜線はブッシュも少なく見通しがいい。笠ヶ岳まではいくつかのピークを越えていく。小烏帽子のピークから急下降したところにカマボコ型の小さな避難小屋があり、そこから笠ヶ岳山頂まではわずかである。朝日岳から1時間ほどで笠ヶ岳到着。眼前に大きく展開する谷川岳主稜を眺めて小休止・・・それにしても暑い!
 
 谷川岳東面の岸壁は、湯檜曽川を挟んで標高差1000m以上でこちらの稜線と対峙する形になるので、立体感が強調されまるで垂直に屹立しているように見える。


笠ヶ岳に向かって下山開始。右手に七ツ小屋山〜清水峠の稜線を遠望
朝日岳を振り返る 右端の三角のピークが笠ヶ岳
近づく笠ヶ岳と谷川岳 避難小屋と大烏帽子、小烏帽子 笠ヶ岳山頂

 腰を上げる。次の休憩地は白毛門。急下降のあとは緩い登りが続く。笠ヶ岳までは風を受け気分よく歩いてきたが、この緩い登りあたりから高い潅木が多くなり風を遮断されることが多くなるし、時折あたる風も勢いが弱くなってきた。しかも標高は下がるし、時刻は正午過ぎの最も日差しの強い時刻!・・・・・・白毛門までの1時間足らずでバテバテになってしまう。白毛門で休憩するが、風弱く、しかも吹く風もモヤ〜ッとした感じ!

 土合から笠ヶ岳まで往復予定で下山中の年配の方に会うが、いたって元気!登り4時間かかったと言っていた。笠ヶ岳から此処まで我々と前後してきたから、軽装とはいえ速いペースである・・・・それにしても暑いですねえ!・・・・もう少しの辛抱ですよ。しばらくで樹林帯に入りますから!それではお先に!といって軽い足取りで去っていった・・・・・しかしさすがの元気なこの方もこの暑さにはまいった!のか、途中で大休止、我々が追い越すことになった。

 

笠ヶ岳を振り返る 白毛門からの谷川岳
土合はすぐそこのようだがまだまだ遠い・・もうすぐ樹林帯に入る 谷川岳ロープウェイと天神平
一ノ倉沢、幽ノ沢の岸壁を真近に見ながら土合へ、炎天下の猛暑のなかの下山!

 我々も立ち上がり土合への下降に入る。しばらくで樹林帯に入るが、日差しは遮断されるものの灼熱の高温はおさまる気配はない。じりじり汗をかきながら下るがあまりの高温に頭がボ〜ッとしてくる。途中3回ほど休憩を取り、這這の体で登山口にたどり着いた・・・イヤイヤ、予想以上の苦闘でした。この長〜い下りさえなければ!・・・・という皆さんの感想、納得!合点!
 
 取り付きの沢で頭を冷やし駐車場へ。何はともあれビール買出しにでる!・・・・大々休止して後、水上温泉ふれあい交流館で汗を流し、夜行便で帰北の途につきました。参加者の皆さん!お疲れ様でした。


【写真上】:取付の沢で頭を冷やす!
【写真下】:朝日岳〜土合駐車場、約6.5 km
温泉:水上温泉ふれあい交流館

Reported by Y.Kubo  Photo presented by Y.Atarashi & S.Okamura

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